塩野義のワクチン、年内に最終治験入り 6千万人分供給に前進

塩野義製薬が開発するワクチンの生産を担うバイオ医薬品製造会社のタンク=岐阜県池田町
塩野義製薬が開発するワクチンの生産を担うバイオ医薬品製造会社のタンク=岐阜県池田町

塩野義製薬は2日、新型コロナウイルスワクチンの効果や安全性を検証する臨床試験(治験)の最終段階を年内に開始し、ワクチンの年度内の供給を目指すと発表した。また、ワクチンの効果を高める補助物質の変更を決定。年間最大6千万人分の供給量が期待できるという。

ワクチンをめぐっては、米ファイザーや米モデルナなどの接種が世界中で進む中、国産ワクチンなど後発組の最終段階の治験で、免疫を持たない被験者を数万人単位で集めて大規模に実施することが難しくなっていた。そこで世界各国でつくる「薬事規制当局国際連携組織(ICMRA)」は大規模治験の代わりになる評価法を議論。接種後にできる免疫物質「中和抗体」の量を、実用化されたワクチンと比べて確かめる方法が検討されている。

塩野義は最終段階の治験を年内に進めるために国と協議を続けている。ICMRAの議論を踏まえ、既に実用化されたワクチンと中和抗体量を比較する数千例規模での方法か、接種が進んでいないアジアやアフリカで偽薬を用いる数万例規模の方法のいずれかを実施する方針。

一方、塩野義は開発中の「遺伝子組み換えタンパクワクチン」の機能を高めるための補助物質「アジュバント」を従来品から変更することを決めた。新しい物質を用いることで、中和抗体量の増加が想定され、原薬の用量を減らしても効果が期待されることから、提供可能量の増加が見込めるという。同社はアジュバント変更に伴う第一、二段階の治験を今月から行い、国内で3千例規模のデータを収集。その上で年内に最終段階の治験に入る。

国内ではほかにも第一三共やアンジェス(大阪府茨木市)、KMバイオロジクス(熊本市)などがワクチン開発を進めるが、最終段階の治験には入っていない。