デルタ株 根強い懸念 医療現場は「早期治療」訴え

緊急事態宣言を受け、大阪・ミナミの繁華街では休業する飲食店がみられた=2日午後5時48分、大阪市中央区(須谷友郁撮影)
緊急事態宣言を受け、大阪・ミナミの繁華街では休業する飲食店がみられた=2日午後5時48分、大阪市中央区(須谷友郁撮影)

大阪府で2日、新型コロナウイルス特別措置法に基づく4度目の緊急事態宣言が始まった。3~6月の感染「第4波」と異なり、65歳以上の高齢者へのワクチン接種が進んだことなどから、重症病床は現時点で逼迫(ひっぱく)していない。一方、感染力が強いとされるインド由来の変異株「デルタ株」流行に対する懸念は根強く、医療現場は重症化回避のための早期治療の必要性を訴えている。

「肺炎がひどくなると治るものも治らない。若い人でも初期の対応を間違えれば危険だ」

重症患者と中等症患者の双方を治療するりんくう総合医療センター(同府泉佐野市)の倭(やまと)正也感染症センター長はこう訴える。

同センターでは第4波に際し、最大15床確保していた重症病床が一時満床になったが、現在は高齢の患者が目立たなくなり、ほぼ使っていないという。

倭センター長は高齢者のワクチン接種が進んでいることなどを要因に挙げた上で「今回は軽症・中等症病院がメインになる」と指摘する。

医療関係者と行政が警戒するのは、第4波で猛威を振るった英国由来のアルファ株の1・5倍の感染力を持つとされるデルタ株だ。

厚生労働省に対策を助言する国の専門家組織によると、東京ではデルタ株の占める割合が約8割だが、大阪では約3割にとどまる。それでも人の流れの抑制ができておらず、感染は急拡大。府健康医療部の藤井睦子部長は「デルタ株への置き換わりが進んでいないのに、大阪で感染が拡大しているリスクを府民といかに共有できるかだ」と話す。

府が6月21日を起点とする第5波では、7月31日に1日あたりの新規感染者が千人を超えた。軽症・中等症病床の使用率は8月2日に45・4%に上り、府が緊急事態宣言要請の基準としていた50%に達するのは「時間の問題」(倭センター長)とされる。

こうした状況で、中等症専門の大阪市立十三市民病院(同市淀川区)の西口幸雄院長は「患者の母数が多ければ、いくら薬があっても確保病床数を上回ってしまう。発生数を抑えてほしい」と訴える。

吉村洋文知事は2日、記者団に「デルタ株の感染拡大力は本当に強い。必ず40~50代の重症者が増え、医療が逼迫してくる」と危機感を示し、府民に感染対策の徹底を呼びかけた。

大阪では20代受診急増

緊急事態宣言を受け赤くライトアップされた通天閣=2日午後7時51分、大阪市浪速区(鳥越瑞絵撮影)
緊急事態宣言を受け赤くライトアップされた通天閣=2日午後7時51分、大阪市浪速区(鳥越瑞絵撮影)

飲食店などが立ち並ぶ大阪市中央区の「小畠クリニック」ではここ数週間、発熱外来の受診が急増している。宣言初日の2日は朝から電話が鳴りやまない状況で、約10人の発熱外来の予約枠は午後の診療前にほぼ埋まった。小畠昭重院長は「宣言が出ても街の様子はまったく変わらない。当面、患者は増え続けるのでは」と危機感を募らせる。

同クリニックでは7月中旬以降、発熱を訴える患者が急増、日によって対応を断らざるを得ないケースも出てきた。府内では1日まで4日連続で感染者が800人を超えるなどしていたが、小畠院長は「第4波とは状況が異なる」とも感じているという。

大きく異なっているのは、ワクチン接種が進んだ影響か65歳以上の感染者がいない分、20代の割合が高くなっている点だ。

今後もこのペースで感染が拡大すると一般診療に影響が出る可能性がある。小畠院長は「若者は重症化しにくいが、中等症も入院が必要なレベルであることには変わらない」と警鐘を鳴らし、若者に対しても行動変容や早期のワクチン接種を呼びかけている。