《香港に対する強圧的な対応やウイグルやチベットなど少数民族への弾圧、わが国の尖閣諸島周辺の領海への度重なる侵入…。中国の横暴に国際社会は歯止めをかけられない》
中国の習近平政権はいま「何でもできる」「どうせ国際社会は何もできないだろう」とタカをくくって、自信過剰になっているように見えますね。中国共産党の横暴ぶりは、27年続いた毛沢東時代もひどかったのですが、そのときは国内での殺し合いや陰謀工作でした。ところが現在の習近平政権は違う。中国内部だけでなく、周辺の国家にも被害をもたらしている。そこが一番の違いです。
一方で、中国国内では国防費以上の「治安維持費」を使って、徹底的に政権への批判、不平不満を封じ込めています。たとえば、インターネット。いまだに中国で「自由」はありません。当局はいくつかのNGキーワードを設定し、監視を強めています。「天安門事件」などという言葉がネット上に出たとたん、誰が書き込んだか、と追跡されて、ただちに警察がやってくる。中国の国民も、そんなことをしただけで拘束されるのはイヤですから、「文句を言うのはやめよう」「損をするだけだ」と考え、自主的に控えるようになる。恐怖心を徹底的に植え付けるのです。
学校で使う教科書でも、共産党に都合の悪いことは一切書かれていません。毛沢東時代の文化大革命(のひどさ)を知っている世代もだんだん減ってゆきます。国民もあえて知ろうとしないから、「真実」は闇に隠されてしまうのです。
《これだけの情報化社会。すべての批判を封じ込めるのは、さすがに無理ではないかと思うのだが》
彼ら(中国共産党政権幹部)はそう思わない。情報が増えた分だけ、「監視」の人員を増やせばいい、「覆い隠すことが可能だ」と考えるのです。独裁政権では何でもできる、警察、検察、司法も味方(配下)なのですからね。
いわば、権力万能思想に取りつかれてしまっています。
「弱み」ですか? それは政権内部にしかない、と思います。今の習近平国家主席の独裁が強まるに従って、内部の利益調整がうまくいかなくなり、多くの不平分子が生まれていく。不満がたまれば内部から崩壊する可能性も出てくる。
天安門事件のときも鄧小平主導の政権も結局、内部分裂で崩壊寸前となりましたからね。富の格差などで国民の不満も高まっています。