北関東の知事が猛反発 「魅力度」はこう決まる

魅力度ランキングについて批判を展開する山本一太知事=15日、群馬県庁
魅力度ランキングについて批判を展開する山本一太知事=15日、群馬県庁

都道府県の「魅力度ランキング」調査が今年も始まった。民間調査会社「ブランド総合研究所」(東京)がインターネット上で実施しており、10月に結果の公表を予定している。例年調査結果をめぐっては、下位に位置付けられた県の知事らが調査手法を問題視し反発するなど、物議をかもしてきた。そもそも魅力度ランキングとは一体どんな調査で、どの程度信用できるものなのだろうか。

怒る北関東

「緻密さに欠けるランキングであり信頼性がないと思う。『本県に魅力がない』という誤った認識が広がることは、県民の誇りを低下させ、経済的損失も伴うゆゆしき問題だ」

今年7月15日、群馬県の山本一太知事は定例記者会見でこう述べ、「魅力度ランキング」を厳しく批判した。

群馬県は昨年の調査で下から7番目の40位に位置付けられた。山本氏はランキングそのものに疑問を呈し、県庁内で検証を開始した。約1年かけ検証結果を取りまとめたことを受け、冒頭の発言が飛び出した。

山本氏によれば、県庁では専門家のアドバイスも受け、統計学的な観点から検証したという。その結果、魅力度を1つの項目のみで評価▽回答に対する配点が不自然-などの点から、「『魅力度』を適切に示すランキングとはいえない」(山本氏)と結論付けた。

ほかにも、下位の県からは反発の声が相次ぐ。昨年調査で最下位だった栃木県の福田富一知事は調査手法を疑問視し、ブランド総合研究所を訪れ精度の向上を直接要望した。一昨年まで最下位の〝常連〟だった茨城県の大井川和彦知事が「実態を十分に反映しているとは考えられず、イメージを著しく損なっている」と激怒したこともある。

設問1つで点数化

では、実際に調査手法は山本氏の指摘通りなのか。ブランド総合研究所に確認してみると、確かに設問は1つのみ。

「どの程度魅力的に思うか」だけだという。

回答は5択で、①とても魅力的②やや魅力的③どちらでもない④あまり魅力的でない⑤まったく魅力的でない-から選ぶ。回答者全体のうち、①と答えた割合(%)に100、②と答えた割合に50をそれぞれかけ、その数を足し合わせて点数をはじき出す。この点数をもとに、順位付けしている。

③~⑤の回答は魅力を感じていないため、点数には反映しないという。

回答方法は次の通りだ。まず、47都道府県を15~16ずつ、3つのグループに分ける。回答者はインターネット調査会社が抱えるモニターで、ランダムに3つのグループのどれかを割り当てる。1人の回答者は、15~16の都道府県についてそれぞれ、5つの選択肢を当てはめる仕組みだ。

1つの都道府県につき、回答数は600人前後になるようそろえている。

ただ、回答者と評価対象となる都道府県との関係性は分からない。例えば北海道の居住者には、北日本の道県が多く含まれるグループを割り当てるなど若干の配慮はするが、そもそも行ったことがないなどよく知らない都道府県の魅力について答えなければならないケースは十分にあり得るという。

調査方法を聞くと、確かに山本氏らの不満は分からないでもない。この方法で、本当に「魅力度」という極めてあいまいな尺度を適切に評価できるのか、疑問は残る。

低い理由を考えよ!

一方、ブランド総合研究所代表取締役の田中章雄氏は、山本氏の主張に真っ向から反論する。「魅力を感じるかどうかという1つの指標で評価するのは、世界的に定着しており、一般的な手法として確立している。山本氏はもっと勉強してから言ってほしい」と怒りを隠さない。

1つの項目のみを尋ねるのは、むしろ恣意的(しいてき)な要素の排除につながるし、調査に連続性を持たせて変化を観察するのにも適しているという。

その上で、田中氏は「調査手法うんぬんより、なぜ低いかを考えた方が良い。仮にやり方を変えても、順位は大きく変動しないだろう。例えば、草津温泉など良いイメージもあるのに、それが群馬県と結びついていない。こうした課題の解消にこそ、もっと時間を割くべきではないか」と語る。

平行線をたどる両者の主張。歩み寄りの気配はみじんも見られない。とはいえ、今年も都道府県の魅力度ランキングは公表される。群馬県は何位につけるのか、否が応でも注目を集めるに違いない。

ただ、これをきっかけに「競争力の高い農畜産物、バランスのいい住環境、日本一の温泉県だ」と山本氏が力説するさまざまな魅力を少しでもアピールできれば、群馬県にとっては実は〝おいしい〟ことかもしれない。