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ラグビー完敗、態勢づくりを 瀬川智広氏

瀬川智広氏(撮影・桐山弘太)
瀬川智広氏(撮影・桐山弘太)

ラグビー7人制で日本代表は女子が最下位、男子が11位と厳しい結果になった。

5戦全敗となった女子だが、ひと言でいえば、コンタクトレベルに世界と大きな差があった。ラックを作ってしまうとボールがほとんど動かなかったが、それは大会の早い段階で分かったこと。そこを修正できなかったのが最大の敗因だろう。

いかにしてブレークダウンを少なくする戦い方をするか。ブレークダウンが起きた際に体が大きくコンタクトの強い海外の選手にいかに対応するか。それを修正できるだけの経験が足りなかった。

新型コロナウイルス禍で例年のように国際試合を重ねることができず、誰が世界で戦える選手なのかの見極めが難しかったのかもしれない。だが、経験が浅い選手が多く、小出深冬や山中美緒の他にも世界の厳しさを熟知する選手をもう少し入れて若手と経験のある選手のバランスが必要だったと思う。

そんな中、国際経験が乏しいながらも梶木真凜や大谷芽生(めい)、弘津悠(はるか)、原わか花といった若い選手が体を張れていたのは収穫だ。今回の経験は必ずや今後に生かせるはずだ。

7人制が初採用された2016年リオデジャネイロ五輪から5年がたち、女子の経験者も増えてきた。日本協会には指導者育成に本腰を入れ、女子セブンズの文化をつくる土壌を整えてもらいたい。

一方、11位に終わってしまった男子だが、大会を通じて感じたのは、何を強みにしようとしているかが分からなかったということだ。

「素早く前に出る防御」「ボールを大きく展開する攻撃」といったようなもの、あるいは「選手のキャラクターを生かすゲームプラン」でもいい。メダル獲得を目標にするならば、チームが立ち返る場所を持っていなくてはならない。チーム内では共有できていたかもしれないが、そうであれば、それに見合った強化とメンバー選考がどこまでできていたのかを検証する必要がある。

加えてディフェンスができないことは致命的だった。(フィジー、英国、カナダと対戦し、3戦3敗だった)1次リーグでは、防御でほとんど前に出ることができずボールキャリアに自由に走られ、組織ディフェンスを崩されたうえ、個々のタックルスキルの低さも露呈する場面が目についた。

海外勢と試合ができない中、強化合宿などでトップリーグの選手らが練習や試合の相手としてサポートしたというが、海外の強豪のようなプレッシャーを体感できる状況を作るのは難しかったかもしれない。

最後に今回のメンバーらが何人、今夏以降の7人制代表に残るのかを懸念している。

リオ五輪後は代表選手らの多くが15人制に戻り、7人制の強化はまた1からのスタートのような状態になった。国内の男子ラグビーが15人制中心である以上、難しい面もあるが、9月にはセブンズワールドシリーズが再開され、さらに2022年には南アフリカのケープタウンでワールドカップセブンズの開催が決まっている。5年前と同じ状況にならないような態勢づくりも考えていく必要がある。(16年リオデジャネイロ五輪男子日本代表ヘッドコーチ、摂南大監督)

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