無観客のスタンドから

ミックスゾーンの妙

女子シングルス1回戦で勝利後、ミックスゾーンで取材対応する大坂なおみ(中央)=有明テニスの森公園
女子シングルス1回戦で勝利後、ミックスゾーンで取材対応する大坂なおみ(中央)=有明テニスの森公園

スポーツ取材の定番といえば、試合後の選手へのインタビュー。五輪の場合、メダルを獲得した選手らはまず、テレビのインタビューを受け、競技場内にあるミックスゾーンで簡単な取材対応をし、その後に記者会見に臨む、というのが通常の流れだ。

コロナ禍で迎えた今大会、ミックスゾーンでの取材は「密」になりやすいため、人数制限がかかるケースが多い。柔道などはまさにこれで、入れなかった記者がICレコーダーを置き、後で肉声を確認するといったケースもある。

かわりに、五輪では初めて、リモートの記者会見が行われている。画面越しに会見を聞けるだけでなく、質問することも可能。皮肉な話だが、不自由な環境とは裏腹に、取材の自由度は広がったともいえる。

ただ、確かに選手やコーチの語る言葉を聞ければ記事は書けるが、「生」でしか味わえないものもある。その最たるものがミックスゾーン。競技直後の選手がユニホーム姿のまま、興奮も冷めやらぬままに語るさまは、発する言葉と同等かそれ以上に雄弁だ。

柔道女子48キロ級で銀メダルを獲得した身長148センチの渡名喜風南(となき・ふうな)(25)には「こんな小さな体で、あんなすごい試合をしたのか」と驚愕(きょうがく)した。2年前に取材で「実物」を見る機会があったバスケットボール男子の八村塁(23)は、当時よりも厚みを増した体つきに圧倒された。

肌で感じたアスリートの「実像」を、いかに読者に届けるか。身の引き締まる思いで、取材に当たっている。(原川真太郎)

会員限定記事会員サービス詳細