【記者発】「趣味が仕事に」eスポーツ 経済部・大坪玲央 - 産経ニュース

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記者発

「趣味が仕事に」eスポーツ 経済部・大坪玲央

大阪で行われたeスポーツの大会
大阪で行われたeスポーツの大会

「まだゲームしよんね。子供やねえ」。約30年続けている格闘ゲームのオンライン対戦に興じているときに母親に言われた一言である。中学生のころはゲーム嫌いの亡き父に隠れて「またゲームセンターに行っとったな」と怒られるほど夢中になった対戦ゲームは、今では「eスポーツ」と呼ばれる。大企業が本格的に事業として取り組むようになってきており、取材、執筆する機会も増えている。予想外に趣味が仕事に生かせるようになってきたわけだ。

新型コロナウイルス禍が、企業のeスポーツへの取り組みを加速させている面もある。社員のレクリエーションとして従来の旅行などに代わってeスポーツ大会を開く企業も増えているという。

大手通信企業の取材で「遅延の少ない第5世代(5G)移動通信方式が最も必要なのは、オンライン対戦ゲームの分野だろう」といった話を聞いていると、趣味なのか取材なのかわからなくなる。

手元のコントローラーで野球のボールを投げる操作をしたはずなのに、ネットの遅延のせいで対戦画面上で投げていなければ、ネットの向こうの対戦相手はバットを振るタイミングを合わせられない。オンライン対戦の遅延はそれほど影響が大きく、それを日頃から趣味として体感していると理解しやすい。

入社当時の千葉総局時代、ペットや野球、鉄道が趣味の上司や先輩記者が趣味を生かした記事を書いているのをうらやましく思っていた。当時は自分の趣味や知識を仕事に生かせるようになるとは、思ってもみなかった。

それから10年近くがたち、平成24年に初めて総務省を担当して以来、時代が変わっていることに気づく。サイバー攻撃や通信業界の競争政策に精通した同省幹部の取材がしやすかったのは、趣味の知識がかみ合ったためだろう。

メルカリ、ラクマ、ペイペイ、auペイなど取材する企業のサービスは多岐にわたるが実際に利用することを基本としている。そうすることで課題がわかり、各企業や政府の対応も予想できるからだ。「オンライン対戦に興じるのはeスポーツの大会で選手の気持ちを取材するのに生かすためだ」。家族に言い訳しながら、今日も家で格闘ゲームの対戦に向かう。

【プロフィル】大坪玲央

平成15年入社。千葉、秋田の総支局、東京整理部、社会部、静岡支局を経て27年10月から経済部。国土交通省などを担当し、現在は総務省担当。