「満足感」 フェンシング金の日本選手、喜びの声

金メダルを手にポーズを決めるフェンシング男子エペ団体の(左から)宇山賢、加納虹輝、見延和靖、山田優=31日午前、東京都内(代表撮影)
金メダルを手にポーズを決めるフェンシング男子エペ団体の(左から)宇山賢、加納虹輝、見延和靖、山田優=31日午前、東京都内(代表撮影)

30日の東京五輪フェンシング男子エペ団体で日本勢初の金メダルを獲得した日本代表。栄光までの道を支えてくれた恩師や家族からも喜びの声が上がっている。歓喜から一夜明けた31日、加納虹輝(こうき)(23)、山田優(まさる)(27)、宇山賢(さとる)(29)、見延(みのべ)和靖(34)の4人は東京都内で記者会に臨んだ。

190センチの長身を生かした鋭い突きを武器に日本チームの勝利に貢献した宇山は会見で、「ピストの上にすべてを悔いを残さず出し切った満足感を感じた」とやり切った様子で語った。

香川県高松市出身。幼稚園のころから市内の音楽教室へ通い、子供時代はピアノやエレクトーンに夢中だった。父の政孝さん(61)によると、「身長は昔から高かったけど運動音痴。かけっこはいつもビリだった」という。

中学で始めたフェンシング。気付けば練習にのめり込んでいた。「相手に勝ったり、できることが増えたりするとうれしそうだった」と県立高松北中学・高校のフェンシング部の監督、渡辺秀才(ひでとし)さん(54)は振り返る。身長も伸び続け、対戦相手を圧倒するようになっていった。

「言われたことをすぐに吸収する。この子はすごい」-。渡辺さんの指導にも熱が入り、その実力は高校2年のころに全国高校総体の男子エペ個人で優勝するまで成長した。

今回の快進撃に当時の姿を重ねていた渡辺さん。「冷静に攻め、チャンスを引き寄せる姿はあの時を思い出す。すごいことをしてくれた」。ひたむきに練習に打ち込んできた中学・高校時代を思い起こし、涙を流した。

自宅で活躍を見守っていた政孝さんは「まさか金メダルを取るとは。本当に驚き、まだ実感が湧かない。ただ一言、おめでとうと伝えたい」と喜んだ。

一方、会見で「まだふわふわした夢のような感じ。少しずつメッセージが来るたび実感がわいてきて、うれしい気持ちでいっぱいです」と話した山田。

地元・三重県鳥羽市の「鳥羽フェンシングクラブ」で、小学2年から競技を始めた。「コツコツコツコツ言われたことをやって努力家だった。こんな真面目な子は珍しいってくらい」と同クラブ監督、鈴木満さん(68)は振り返る。

中学に進み頭角を現した山田の「ライバル」は、姉のあゆみさん(29)だった。高校時代から日本代表に選ばれ、世界を相手に戦う姉の姿に、山田は心底悔しがっていたという。

姉の後を追うように努力を続け、鳥羽高校(同市)ではインターハイ連覇。世界ジュニア選手権でも男子エペで日本初の金メダルに輝き、平成29年の全日本選手権ではきょうだい同時に頂点に立った。

「私が火をつけたんだったらうれしい。優は『弟なのかな』と思うほど、信じられないくらい強くなった」。今も剣士として、互いに強く意識するというあゆみさんはそう話し、弟の快挙をたたえた。「日本の悲願をかなえてくれた。本当におめでとう」(西山瑞穂、藤木祥平、清水更沙)

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