深層リポート

コロナ禍の新しい富士登山体験 マスクに検温、山小屋は密回避

2年ぶりの富士開山で、富士宮ルートの急斜面の岩肌を登る登山者。眼下には白い雲が迫る=7月10日、富士宮ルートの富士山頂と9合目の間(岡田浩明撮影)
2年ぶりの富士開山で、富士宮ルートの急斜面の岩肌を登る登山者。眼下には白い雲が迫る=7月10日、富士宮ルートの富士山頂と9合目の間(岡田浩明撮影)

新型コロナウイルスの影響で昨季は閉鎖された富士山(標高3776メートル)が7月10日、2年ぶりに開山し夏山シーズンを迎えた。普段は〝下界〟から眺めるばかりの記者がこれを機に「ウィズ・コロナ時代の新しい登山スタイルを体験しよう」と、4回目の富士登山を一念発起。通算2千回以上登って「ミスター富士山」の名で知られる静岡県沼津市の実川欣伸(じつかわ・よしのぶ)さん(78)とともに、マスク姿で霊峰にアタックした。

2年ぶりに開山

10日午前8時半ごろ、開通したばかりの静岡県側登山道の一つ、富士宮ルートの5合目(標高2400メートル)で、実川さんや妻の美樹さん(54)らと落ち合った。2年ぶりの開山を心待ちにしていた実川さんにとって通算2075回目。「澄んだ空、透き通ったような白い雲。最高の開山日だ」と白い歯をみせた。

だが、新型コロナ対策で例年とはやや異なる。まずは、受け付けスタッフによる体調チェック。額に非接触型の体温計をかざされ、記者は36・4度。海外滞在歴がないか、せきや味覚異常などがないかなども尋ねられる。

マスクは常時着ける必要はないが、人と距離が確保できない時やすれ違い時には口や鼻を覆うよう、静岡・山梨両県などが策定した「Withコロナ時代の新しい富士登山マナー」で求められている。

時折、風速20メートル

いずれも問題なしとなり、いざ出発。緩やかな傾斜を登って約10分で6合目(標高2490メートル)に着いたが本番はここからだ。新7合目(2780メートル)に進むと点在する大小の岩にバランスを崩したり砂礫(されき)に足をすくわれたりし、余裕が消える。「傾斜も予想以上にきつくなってきている」との不安をよそに、実川さんは両手を後ろに組み、一定の歩幅で淡々と急斜面を登る。