「頑丈で柔らかい」という鎖の性質を生かした新素材の開発に向けた研究が加速している。千葉大などの研究チームは、ナノサイズのリング状の分子が自発的に連なって鎖のような構造になることを発見。結びあう5つの輪で構成されるオリンピックシンボル「五輪マーク」にそっくりな分子の合成に成功した。これには、身近にあふれる化学現象である「自己組織化」という仕組みが関わっていた。今後、伸縮自在でかつ丈夫な素材開発につながる可能性があるという。
五輪カテナンを多数合成
チームが用いたのは、「カテナン(カテナはラテン語で鎖の意)」と呼ばれるナノメートル(ナノは10億分の1)単位の化合物だ。2つのリング状の分子が鎖のように結びついた形状をとる。