39歳のソフトボールの上野由岐子さんから、13歳のスケートボードの西矢椛(もみじ)さんまで、並み居る東京五輪金メダリストに代表される幅広い年齢層はいわば輝かしき「新五輪世代」だ。今後の日本を背負う。ところが経済社会では多くの若者ががんばって報われる環境に恵まれない。政官エリートが四半世紀にも及ぶ慢性デフレを放置してきたからだ。
選手たちの奮闘をテレビ観戦しながら、考える。なぜ日ごろは縁遠い種目のスポーツにひきつけられるのか。どれをとっても私たちが働く世の本来あるべき姿を映し出すからだろうか。
自由市場経済の原則は、万人が平等に働く場やビジネスに参加する権利を持ち、公正なルールのもとで切磋琢磨(せっさたくま)することだ。五輪競技でも基本は同じだ。一度の負けで次に進めなくなる種目が多いが、敗者が復活できるゲームもある。スケートボードのように、失敗しても、次の挑戦で挽回できるというのにはわくわくさせられる。いつか来る大波に乗れば一発逆転できるサーフィンも若者ならではのスポーツだ。