兄の思い継ぎ世界と奮闘 水球「守護神」棚村

日本―イタリア 第4ピリオド、ペナルティースローを決められるGK棚村=東京辰巳国際水泳場
日本―イタリア 第4ピリオド、ペナルティースローを決められるGK棚村=東京辰巳国際水泳場

前回リオデジャネイロ大会から2大会連続で五輪に出場した日本男子水球代表「ポセイドン(海神)ジャパン」。1984年ロサンゼルス大会以来となる五輪での勝利を目指す日本の守護神、棚村克行(31)は、五輪出場の夢を果たせなかった元代表ゴールキーパーの兄への思いを胸に戦っている。兄弟で切磋琢磨(せっさたくま)してきた日々が、世界の強豪に立ち向かう力になっている。(石原颯、原川真太郎)

スキンヘッドにひげを蓄えた、ワイルドな風貌。31日に東京辰巳国際水泳場(江東区)で行われた予選リーグのイタリア戦、敗れたものの棚村は、何度も強烈なシュートを見舞われながらも果敢に体を張った。

母の故郷である沖縄・石垣島で生まれ、東京で育った。兄、英行さん(33)の背中を追いかけ明大中野中(中野区)で水球を始め、同高をへて筑波大に進んだ。

激しい攻防が繰り広げられることから「水中の格闘技」ともいわれる水球。欧州では人気競技で、国技といわれるほど盛んな国もあるが、日本では競技人口約7千人とマイナーの部類で、環境面でも後れを取る。育成世代の代表に呼ばれる実力を持っていた兄と膝を付き合わせ、練習メニューや戦術について夜な夜な議論。小柄な日本人が世界で渡り合うには何が必要か、熱く語り合った。

高校時代には兄弟で空手道場に入門。兄が卒業し海外に渡ってからは、総合格闘技のジムにも通った。「相手の初動を予測しつつ、相手を先に動かす」(英行さん)格闘技の技術が、水球に通じるという。

やがて、ゴールキーパーとして兄弟で代表に選出されるように。ロンドン大会の予選までは英行さんがレギュラーだったが、五輪には届かず。その座を引き継ぎ、リオ大会で32年ぶりに五輪の舞台に返り咲いた。現在は新潟県柏崎市の社会人クラブチームで活動し、スポンサー企業の契約社員として水球に専念する生活を送る。

「ミスでピンチになった時に僕が止められなかった」。イタリア戦の後、こう悔やんだ棚村。今大会は接戦も多かったが、あと一歩及ばず、予選リーグ敗退が決定。だが最終戦の南アフリカ戦(2日)に向けて「応援してくれる方がたくさんいる。集中してやりたい」と気持ちを切り替えた。

英行さんは「海外の選手と遜色ない活躍をしている。さらに成長して(次の)パリ五輪で予選リーグを突破してほしい」とエールを送った。

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