都市封鎖法制を求める声も 「人頼み」の日本モデルに限界

会見を終え降壇する菅義偉首相。右は政府分科会・尾身茂会長=30日午後、首相官邸(春名中撮影)
会見を終え降壇する菅義偉首相。右は政府分科会・尾身茂会長=30日午後、首相官邸(春名中撮影)

政府が新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令対象を6都府県に拡大した。感染力の強い変異株と国民の「宣言疲れ」があいまって、感染拡大に歯止めがかからない。対策の行き詰まりが明らかになる中、個々人の行動制限に強制力を持たせるロックダウン(都市封鎖)など、法改正の必要性を訴える意見も強まっている。

政府はこれまでのコロナ対応を限定的な私権制限で乗り切ってきた。2月の特措法改正で可能となった罰則付きの休業命令も、抑制的に運用されてきた。

しかし、緊急事態宣言を重ねるごとに対策の効果が弱まったのは明らかだ。実効性を高めるための金融機関や酒販事業者を通じた「働きかけ」方針は猛反発で撤回に追い込まれ、万策尽きた感を印象付けた。

そんな中、30日の基本的対処方針分科会では、複数の有識者がロックダウンを含め、強制力を強める法改正の必要性を訴えた。

「あるエリアで人流を止める法整備を検討する段階に来たのではないか」

飯泉嘉門・全国知事会長は記者団にそう述べ、ロックダウン法制の議論を提起したと説明。別のメンバーも「お願いだけで行動を変えてもらえるのか」と語り、法改正の論議を急ぐべきだと指摘した。

「要請ベースの対策では限界だ」。参院議院運営委員会でも30日、国民民主党の矢田稚子氏が特措法の改正を政府に迫った。西村康稔経済再生担当相は「外出規制は民主的な先進国でもやっている。不断の検討を進めたい」と応じた。

ロックダウンは緊急事態法制や憲法論議にもつながる論点だが、昨春に東京都の小池百合子知事が提起した際、国民のパニックを懸念した政府は火消しに追われた。結果的に強制力抜きで乗り切った対応は「日本モデル」と呼ばれた。

しかし、国民の公徳心に依存する対策も曲がり角を迎えている。

「今は全力で火事を消す。ただ、いろんなオプション(選択肢)は当然、検討はするのだろうと思う」。コロナ分科会の尾身茂会長は30日の記者会見で、ロックダウンについて問われ、そう答えた。

私権制限に関する検討は政治的リスクを伴う。菅義偉首相は同じ会見で、欧州などではロックダウンでも感染再拡大を防げなかったと指摘し、こう語った。

「結果的に、やはりワクチンだ。日本においてロックダウンという手法はなじまない」(千葉倫之)