日本柔道界の悲願背負う最重量級の原沢と素根

柔道最重量級の重責を担う女子78キロ超級の素根輝(左)と男子100キロ超級の原沢久喜
柔道最重量級の重責を担う女子78キロ超級の素根輝(左)と男子100キロ超級の原沢久喜

柔道が初めて五輪で実施された1964年の前回東京大会。無差別級の神永昭夫はアントン・ヘーシンク(オランダ)に敗れた。それまでの全3階級を制しながら、最重量級で一敗地にまみれた衝撃は「お家芸」を自任する日本柔道界に特別な感情を生んだ。

最も重い階級の戦いを制した者が最強-との考え方は、半世紀以上を経た今も関係者の心のうちに脈々と受け継がれている。それだけに、30日に畳に上る男子100キロ超級の原沢久喜(29)=百五銀行=と、女子78キロ超級の素根輝(21)=パーク24=には大きな重圧がかかる。

今大会、日本は「聖地」の日本武道館で、前回の東京大会同様に地力を発揮し続けてきた。男子は現行より1つ多い8階級で争った84年ロサンゼルス大会の4個を上回り、史上最多となる5個の金メダルを獲得。女子も5階級で優勝した2004年アテネ大会以来となる3階級を制した。だが、男女の最重量級を落としては、画竜点睛を欠く。

男子はパワーとスピードを兼ね備えた難敵ぞろいだが、原沢は「金メダルへの執念を持ち、どんな状況でも屈しない姿を見せたい」と銀に終わった16年リオデジャネイロ大会の雪辱を期す。同大会後にオーバートレーニング症候群や故障に苦しみ、不振も経験。試練を乗り越えて2度目の五輪代表をつかんだ苦労人は「使命を全うする」と決意を口にする。191センチと長身の本格派。集大成と位置づける舞台で、08年北京大会の石井慧(さとし)以来となる日本勢13年ぶりの頂点を狙う。

一方、女子の素根は福岡・南筑高3年の18年から全日本女子選手権を2連覇した若き女王。世界選手権とグランドスラム大阪大会を制して19年11月に柔道東京大会日本代表の第1号となり、五輪初出場ながら米国のデータ分析会社も「金メダル」と予測する。162センチと小柄だが、大内刈りや担ぎ技の切れ味が鋭く、豊富なスタミナも武器。「小学校低学年から五輪の金メダルを目指してきた」と夢の実現に闘志を燃やす。

今大会では同じ2000年生まれで52キロ級の阿部詩(うた)(21)=日体大=が先に金メダルを獲得した。負けるわけにはいかない。誰よりも五輪の舞台を待たされた逸材は「必ず金メダルを取るのが目標。達成し、名前の通りに輝けるように頑張りたい」と誓った。

2人の活躍に、日本柔道界の悲願が懸かっている。

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