「日銀は強いメッセージを出すべきだった」 議事録公開受け当時の西村副総裁

西村清彦元日銀副総裁(政策研究大学院大学提供)
西村清彦元日銀副総裁(政策研究大学院大学提供)

平成23年4月28日に開催された日銀の金融政策決定会合で、東京電力福島第1原発事故の影響の深刻化に備え、5兆円程度の追加資産買い入れを提案した当時の副総裁、西村清彦政策研究大学院大学特別教授=写真=に話を聞いた。

--会合で追加の資産買い入れを提案した理由は

「震災に加え、当時は円高の影響もあり、特に中小企業が大きなダメージを受けていた。私としては、消費や企業のマインドに好影響を与えるような強いメッセージを日銀が出すべきと考えていた。3月に実施した日銀の資産買い入れ策が不十分というよりは、マインドに働きかけるような毅然(きぜん)とした態度を示すことが重要というのが主張だ」

--提案は他の委員全員の反対によって否決された

「審議委員の中には、3月で実施した緩和効果が見えていない段階で追加緩和をするのはどうかいう意見もあったが、私はマインドに対する効果があったかどうかを見て政策を判断するのでは遅いと感じていた。ただ、政策判断で重視される(消費者物価指数や倒産件数などの)ハードデータがそれほど落ち込んでいなかったこともあり、多くの賛同は得られなかった」

--当時の民主党政権と日銀が協調できなかった

「政権との意思疎通はうまくできていなかった。典型的なのは、震災後の電力不足による計画停電で、政府は機械的に日銀電算センターのある東京都府中市までを停電範囲に組み込んでいた。それもセンター停止の影響も考えず、機械的にだ。それを阻止できたが、政権からの重圧に対し日銀が毅然とした態度をとれなかったのは反省点だろう」