欧米でワクチン義務化の動き 医療従事者や公務員

ただ、米国で普及する3つのワクチンは食品医薬品局(FDA)の正式承認が済んでおらず、カリフォルニア州職員のソフィア・パーキンスさん(58)は「緊急使用段階のワクチンの接種は義務化できない」と退職も辞さない考え。同州パサデナ市は正式承認された後で義務化を始めるとしている。

停職処分も可能

欧州ではフランスで今週、ワクチン接種を9月15日から医療従事者に義務付ける法律が国会で成立した。新法はワクチン接種、あるいはウイルス検査での陰性を証明する「健康パス」の提示を飲食店や交通機関、デパートなどに広げることも定めている。憲法裁判所の判断を経て、8月に施行される予定だ。

新法が施行されると、対象機関の経営者はワクチンを接種しない人を停職処分にすることができるようになる。陰性証明の効果は48時間以内に限られるため、新法は「事実上、ワクチン接種の強制」との反発も強い。24日には、全国で16万人が法案への抗議デモを行った。

イタリアでは22日、飲食店や美術館、スポーツ施設でワクチン証明や陰性証明の提示を要求する政令を閣議決定した。違反者は400ユーロ(約5万2千円)以上の罰金対象となる。(ニューヨーク 平田雄介、ワシントン 黒瀬悦成、パリ 三井美奈)

全国民対象も…世界各地で義務化徐々に

新型コロナウイルスのワクチン接種を義務付ける国は、欧米の国々以外にも徐々に広がっている。

ロイター通信などによると、インドネシアは2月、全国民の接種を義務化した。首都ジャカルタの当局は、接種を拒否した者には最高500万ルピア(約3万8千円)の罰金を科す。今月からは水際対策として、海外からの全ての入国者にも接種を義務付けた。

パキスタンは6月、公務員と公営・民間企業の従業員への接種を義務化。サウジアラビアは5月、公的部門、私企業を問わず職場に出勤する全ての人に接種を義務付けた。8月1日からは政府機関や教育施設などへの立ち入りや公共交通機関の利用を接種者に限定する。同9日以降は海外への渡航者にも出発前にワクチン2回の接種を義務付ける。

トルクメニスタンは7月、18歳以上の全ての居住者に接種を義務付け。カザフスタンは6月、20人以上が集まる職場で働く人に対し、ワクチンの接種か毎週のウイルス検査を義務付けた。ロシアの首都モスクワの当局は、全てのサービス部門について従業員の60%以上が8月15日までに接種を終えるよう要求している。(田中靖人)