北京春秋

北朝鮮人は金持ち?

中国と北朝鮮を結ぶ「中朝友誼橋」。中朝貿易の大動脈だが、以前は頻繁に行き来していたトラックは1台も確認できなかった=10日、中国遼寧省丹東
中国と北朝鮮を結ぶ「中朝友誼橋」。中朝貿易の大動脈だが、以前は頻繁に行き来していたトラックは1台も確認できなかった=10日、中国遼寧省丹東

今月、北朝鮮と国境を接する中国遼寧省丹東市を約10年ぶりに訪れた。観光地として整備が進んだ街の変化に驚かされる一方、地元出身という30代の男性タクシー運転手がさりげなく発した一言が印象に残った。

「北朝鮮人は金持ちというイメージだ」

日本での北朝鮮像は「食糧不足、電力不足、外貨不足」といったものだろう。北朝鮮と「金持ち」という言葉を結び付けたことがなかったので耳を疑った。北朝鮮に詳しい中国のメディア関係者にこの話をすると、彼は「中国にいる北朝鮮人は、出稼ぎ労働者を除いて基本的に一握りの特権階級だ。実際にカネがある」と解説してくれた。

ただ、新型コロナウイルス禍で中朝貿易の冷え込みが長期化し、北朝鮮との関係が深い丹東の景気は目に見えて悪化していた。「仕事がなくなった貿易業者が冷麺屋を開いて何とか持ちこたえている」といった苦境を方々で耳にした。

北朝鮮の女性労働者の早朝出勤の様子も目撃した。以前は制服のように統一された服装で整然たる行列だったそうだが、バラバラな格好で疲れた様子だった。彼女たちは、厳しい防疫対策のため故郷に長期間帰ることができていないという。その姿から、北朝鮮の「金持ち」が国民の犠牲の上に成り立っていると実感した。(三塚聖平)