1968年メキシコ大会以来、53年ぶりの五輪に挑んでいるホッケー男子日本代表「サムライジャパン」。シギ・アイクマン監督を支えるのは、33歳の穴井善博(よしひろ)コーチだ。
熊本県立小国(おぐに)高3年時にインターハイを制し、強豪の天理大に進学。日本代表の一員として2008年北京、12年ロンドン五輪を目指したが、いずれも五輪出場はならなかった。
「強豪国の3倍走ろうと一生懸命やったが、及ばなかった。走り勝つこと以外に勝つための要素があるのではないか」
そう考え、24歳の若さで現役引退と指導者への転身を決断した。奈良教育大大学院で学び、平成27年春に天理大の男子部監督、同年秋には日本代表のコーチに就任。目指したのは、日本の課題であるプレースピードの向上と確実性との両立だった。
開催国枠で出場が決まった五輪。穴井さんは「強豪とはり合えるスピード感が出てきた」と実感する。敗れはしたが、初戦では世界ランキング1位のオーストラリアからリードを奪って前半を折り返す善戦をみせた。
「マイナースポーツであるホッケーの魅力を広める千載一遇のチャンス」。そう意気込んで臨んだ大舞台は、ここまで1分け3敗と厳しい戦いが続く。1次リーグ最終戦は30日のインド戦。初勝利を目指し、格上に立ち向かう選手らをピッチサイドから見守る。(川西健士郎)