スパイウエア取り締まり困難 政府要人は自衛を

台湾の政府要人が無料通信アプリ「LINE」のアカウントにハッキング攻撃を受けた(萩原悠久人撮影)
台湾の政府要人が無料通信アプリ「LINE」のアカウントにハッキング攻撃を受けた(萩原悠久人撮影)

台湾の政府要人が無料通信アプリ「LINE」のアカウントにハッキング攻撃を受け、国内の政府高官や政治家なども攻撃を受ける可能性があるとして、専門家らが警鐘を鳴らしている。攻撃に使われたスマートフォンやパソコンなどの機器を監視する「スパイウエア」は取り締まりができないのが現状だからだ。要人らは自主的なサイバー攻撃への備えが急務だ。

スパイウエアとは、スマホなどを監視するソフト。なんらかの方法でソフトがインストールされた機器を遠隔操作し、行動履歴などのデータを抜き取る。

台湾ではイスラエル企業が開発したスパイウエア「ペガサス」が使われたとみられている。LINEは「必要に応じて捜査当局に被害を申告し連携しながら対応している。セキュリティーの強化などに最善を尽くす」とコメントした。

サイバー攻撃に詳しい神戸大大学院の森井昌克教授は「こうした監視ツールは昔からある。法的に禁止することは難しい」と指摘する。個人情報を監視するソフトの定義が明確でないのが一因。もし、利用者のデータ収集を禁じれば、ネット通販や交流サイト(SNS)などのアプリも規制を受けることになってしまうからだ。スパイウエアは海外政府の情報機関などが諜報活動などで利用しているとされ、国際社会でも使用を禁止する動きはない。

マクロン仏大統領の携帯電話がペガサスの標的とされるなど、日本でも政府要人が狙われる懸念は払拭できない。森井教授は「台湾のケースはLINEに脆弱(ぜいじゃく)性があったわけではない」と分析、「政府要人は信頼できる通信会社から調達した機器を利用すべきだ」と話す。

政府は4月、LINEの個人情報管理の不備を受け、政府機関や自治体の職員がLINEで機密情報をやり取りすることを原則禁止するガイドラインを公表している。(高木克聡)