サッカー・堂安 「2番はいらない」 どん底知り進化

【東京五輪2020 サッカー男子 予選】〈フランス対日本〉後半、競り合う堂安律=28日、日産スタジアム(撮甘利慈撮影)
【東京五輪2020 サッカー男子 予選】〈フランス対日本〉後半、競り合う堂安律=28日、日産スタジアム(撮甘利慈撮影)

エリートコースを歩んできた負けず嫌いの男は、海外で初めてのどん底を味わい、一皮むけて帰ってきた。28日、フランスに快勝し、9年ぶりの決勝トーナメント進出を決めたサッカー男子日本代表。この日もチームの中心の一人となったのがMF堂安律(どうあん・りつ)(23)だ。「2番はいらない」。悲願の1968年メキシコ五輪以来となるメダルへの思いは強い。

後半19分、左サイドからロングパスを蹴り込み、さらに前線に走り込んだ。クロスにタイミングは合わなかったが、終始、攻勢を続け、4-0で強豪フランスを破る圧勝劇に貢献。同27分には交代で退き、準々決勝に備えた。

サッカーでは、エリートコースを歩んできたといっていいだろう。

小学4年時から在籍した「西宮SS」(兵庫県西宮市)の当時のコーチ、早野陽(よう)さん(37)いわく、「圧倒的な負けず嫌い」。小学6年のとき、県決勝で敗れると泣き、「2番はいらない」と表彰式出席を拒もうとしたこともある。

16歳でプロ公式戦デビューし、2018年には日本代表に。だが、19年に移籍したオランダの強豪「PSVアイントホーフェン」ではポジションを確保できず、出場機会をほとんど失った。転機を求め、20年にドイツ1部リーグに昇格したばかりのビーレフェルトに期限付き移籍。再び縦横に活躍をみせるようになったのは、このころからだ。

母国開催の五輪で「結果を残す」と明言してきた堂安。早野さんは「小さい頃から言ったことはやる男」と結果に期待しつつも、「子供たちに『サッカーは楽しい』ということを見せてくれる選手になってほしい」と願う。一度、底を知ったからこその「楽しみ」を、堂安はかみしめながら頂点を目指す。(藤井沙織)

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