卓球女子シングルスで2大会ぶりの4強はならなかった。石川佳純(全農)は第1ゲームを先取しながら、4ゲームを立て続けに失って逆転負け。「満足のいく結果じゃない。団体戦に気持ちを切り替えて…」。取材エリアでそこまで話すと、一度後ろを振り向き、こみあげてくる涙を必死にこらえた。「やらなきゃいけない。練習してきたことをコートにぶつけたい」。次の戦いに向け、女子主将としての矜持(きょうじ)を示した。
バックハンドを巧みに操る相手のユ(シンガポール)は「もともと得意な選手ではない」。第1ゲームは速いラリーを次々制して奪ったが、回転量を増やし、遅いペースに持ち込んできた相手の仕掛けに対応し切れなかった。
10-8から追い付かれた第3ゲームを勝負どころととらえ、12-11でタイムアウトを請求。ここでユの出してきたロングサーブに意表を突かれ、3連続失点でこのゲームを落とすと、歯止めが利かなくなった。最終第5ゲームは開始から10連続得点される屈辱的な展開で終わった。
バックハンドの徹底強化を図って臨んだ1月の全日本選手権では、女王の座を5年ぶりに奪還。「精神状態としてはいい」と手応えをつかんで臨んだ3度目の五輪でも、シングルスでのメダルには届かなった。ただロンドン五輪では3位決定戦での苦杯、リオデジャネイロ五輪では初戦敗退を乗り越えて、団体でチームを表彰台に導いている。28歳は「後悔のないように頑張りたい」と自身に言い聞かせた。(奥村信哉)