金メダル永瀬、折れない、ぶれない 耐えて咲かせた大輪の花 柔道男子81キロ級 - 産経ニュース

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金メダル永瀬、折れない、ぶれない 耐えて咲かせた大輪の花 柔道男子81キロ級

【東京五輪2020 柔道 男子81キロ級】<決勝>優勝した永瀬貴規=27日午後、日本武道館(桐山弘太撮影)
【東京五輪2020 柔道 男子81キロ級】<決勝>優勝した永瀬貴規=27日午後、日本武道館(桐山弘太撮影)

「気持ちで折れず、最後まで攻め抜く柔道ができた」。試合中は表情一つ変えなかった永瀬貴規(旭化成)の目が、勝利の瞬間、涙でうるんだ。

柔道男子81キロ級決勝は厳しい組み手争いになった。「力だけで柔道は勝てない」と元世界王者のモラエイ(モンゴル)を巧みにいなし、攻防で妥協せず勝機を待った。延長1分43秒。疲れの見えた相手をついに長い右足がとらえ、あおむけに転がした。

大けがを乗り越えての栄光だった。2017年の世界選手権で右膝靭帯(じんたい)を断裂。手術をして1年以上も国際舞台から遠ざかった。この間、地道なリハビリと体幹強化の日々に耐えた。復帰当初は結果が伴わず、「どん底を味わいながらはい上がった」。台頭する若手との生き残りを懸けた戦いで一歩も譲らなかった。

リオデジャネイロ五輪の悔いが胸を去らない。金メダルを有力視されながら、銅に終わった。表彰台で金をぶら下げた選手の姿が脳裏に焼き付く。「あのメダルがほしかった。悔しい気持ちが大きな転機だった」

けがの回復とともに19年によみがえる。7月から国際大会4連勝で代表争いを逆転。「腐らずにやってきて、過去の自分を超えられるような成長ができた」と珍しく自賛した。派手な必殺技も豪快な一本勝ちもない。「泥臭くても勝ちにいく柔道」に徹する。日々の乱取りでも、相手に技を出させて守る場面を反復した。

前夜に五輪2連覇を果たした男子73キロ級の大野将平(旭化成)を「永瀬が一番強い」とうならせる粘りが、この日も光った。5試合のうち延長戦が4試合。「きつい試合が続くと準備してきた」と相手の攻撃を封じ、我慢強く戦った。

好きな言葉は「日々精進」。地道に努力を積み重ねてきた柔道人生が、日本武道館に大輪の花を咲かせた。(田中充)

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