「次の五輪では中核に」7人制ラグビー11位 石田吉平の恩師がエール

日本―韓国 後半、突進する石田。右は藤田=味の素スタジアム
日本―韓国 後半、突進する石田。右は藤田=味の素スタジアム

東京五輪の男子7人制ラグビー日本代表は28日、韓国に31-19で勝利し、大会最後の試合を終えた。大学生から唯一代表に選出された明治大学(東京都千代田区)の石田吉平(21)は今大会で持ち前の機敏さを見せつけたが、結果は12チーム中11位。大学の恩師は「次の五輪で中核として戦ってくれるはず」とエールを送った。(内田優作)

「なんや、このスピードは!」。母校、常翔(じょうしょう)学園高(大阪市旭区)ラグビー部の野上友一(ともかず)監督(63)はかつて、試合前のウオーミングアップをする石田を見て驚きを隠せなかったことがある。一定の区間を走って往復する「シャトルラン」と呼ばれる練習。石田が30秒も走ると、他の部員と1往復半の差がついた。野上さんは「小さいが機敏さが違った」と振り返る。

高校時代から異彩を放ち、ユースオリンピック日本代表にも抜擢(ばってき)された。小柄ながらパワフルなプレーで知られるラグビー南アフリカ代表のWTBコルビになぞらえて「和製コルビ」の異名もとる。

「一言でいえば『ラグビー小僧』。ラグビーが大好きで、強くなるための努力を苦しいと感じない」。石田をこう評するのは、明大ラグビー部前監督の田中澄憲(きよのり)さん(45)だ。

大学1年の夏に長野県の菅平で開かれた合宿。部員のほとんどが休む中日の早朝午前6時半に、ジムで一人トレーニングに打ち込んでいる石田を見た。「そんな選手、誰もいない。目指しているものが違うんだなと思った」

28日の韓国戦で途中出場したが、大会を通じての出場時間はわずか。チームも11位と振るわなかった。

「もっと試合に出たかったし、勝ちたかった。心残りの大会だった」と石田。田中さんは「努力が通用せず、悔しさはあったと思う」とおもんぱかる。

それでも21歳の石田にとって、競技人生はまだ序章だ。田中さんは「サイズは小さいが、一瞬で相手を抜き去るスピードがあり、ボールを持ったら人をわくわくさせる」とその素質に太鼓判を押す。次の五輪に向け、「いい経験になった。次の五輪ではチームの中核として戦ってくれるはずだ」と期待を込めた。

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