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デザイナー・コシノジュンコ(81)(27)能とファッションの融合で飛躍

近年では能とファッションショーのコラボも実現
近年では能とファッションショーのコラボも実現

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《一見、ファッションとは縁遠い世界とも、積極的なかかわりを見いだす。新たな挑戦への意義とは》


近年、能とモードを融合させたファッションショーを行っています。2015(平成27)年、京都国立博物館で開催された琳派(りんぱ)展で、ショーをすることになりました。

能の曲の「楽譜」である「謡本(うたいぼん)」の装飾にも用いられた芸術の流派「琳派」が栄えたのは江戸時代。そのため、現代の音楽や照明を使って琳派を表現するのは違うと考えた。

もっとシンプルに江戸時代を表現したいと悩んでいたとき、能のお誘いを受けた。能を楽しめるのか不安でしたが、予想とは裏腹に、その世界観に引き込まれた。そこでひらめいたのです。厳かなお囃子(はやし)の中で繰り広げる、能とファッションを融合させたショーはどうだろうか、と。

ショーは照明が一切ない薄明かりの中で行った。モデルたちは琳派をイメージした鶴の羽織や、「盆栽ヘアー」で登場。うまく日本的な美を表現できたと自負しています。

その3年後、ショーの評判が上々だったため、「京都・パリ友情盟約締結60周年記念」の式典で、パリ市庁舎でも開催することに。

ネオ・ルネサンス様式の重厚な庁舎の中、お囃子が鳴り響き、異国の文化が静かに融合を果たした瞬間でした。


《東京・銀座の商業施設「GINZA SIX」地下にある観世流の本拠地「観世能楽堂」でもショーを開催》


「どうせなら、本拠地でショーをやりたい」

京都とパリでショーを開催し、東京で行いたいという気持ちが強くなりました。