【ワシントン=黒瀬悦成】米疾病対策センター(CDC)は27日、新型コロナウイルスの感染予防に向けたマスク着用の指針を見直し、感染が深刻な地域ではワクチン接種を済ませていても屋内ではマスクを着用するよう勧告した。また、幼稚園~高校3年の全ての生徒と教師は、ワクチン接種の有無を問わず全員が学校内でマスクを着用するよう呼びかけた。
感染力が強いデルタ変異株の流行が深刻化していることを受けた措置。CDCによると、7日平均の1日当たり新規感染者数が5万7126人で、現時点では最も感染が深刻だった時期の4分の1程度だが、感染者数が急激なペースで増加していることから指針の見直しに踏み切った。
CDCは5月、ワクチン接種を済ませていれば、屋外および屋内の大半の場所でマスク着用は不要との見解を発表していた。
CDCによると、マスク着用が必要な感染率の高い地域は、ワクチンの接種率が低い南部フロリダ州やテキサス州、中西部ミズーリ州など全米の63%の郡。ただ、これらの地域はマスクやワクチンに否定的な人が多く、指針見直しが功を奏するかは定かでない。
CDCのワレンスキー所長は記者会見で「ワクチンを接種済みでも他の人にウイルスをうつす可能性がある。証拠もある」と指摘し、近く全米規模のデータを公表すると語った。
バイデン大統領は27日、ロックダウン(都市封鎖)の再実施を避けるためにも「ワクチン接種が最重要だ」と強調した。
バイデン氏はまた、感染拡大を受けて連邦政府職員に新型コロナのワクチン注射を義務付けることを「検討している」と述べた。
退役軍人省は26日、同省で働く医療関係者を対象に、連邦政府機関として初めてワクチン接種を義務化すると発表。ニューヨーク市と西部カリフォルニア州も同日、職員に新型コロナのワクチン接種または週1回のウイルス検査を義務付けると発表している。