内村の8学年下の萱と谷川が牽引 体操男子団体「銀」

東京五輪体操男子団体決勝で全ての演技を終え、橋本大輝と抱き合う北園丈琉=26日(川口良介撮影)
東京五輪体操男子団体決勝で全ての演技を終え、橋本大輝と抱き合う北園丈琉=26日(川口良介撮影)

26日に行われた体操男子団体総合決勝。日本は橋本大輝(順大)北園丈琉(徳洲会)萱和磨、谷川航(以上セントラルスポーツ)のメンバー4人で銀メダルを獲得した。

5種目を終え、日本は首位のROCに1・271点リードされて3位だった。ラストの鉄棒。逆転金メダルのためには絶対にミスが許されない場面で、萱、北園と失敗なくまとめ、最後は橋本。日本の新エースはカッシーナをはじめとする離れ技をきっちり決め、着地もぴたり。4人は抱き合って感情を爆発させた。

このシーンが試合の意味を全て物語っていた。全員が持てる力を出し切り、18演技を並べたからだ。直後のROCの演技で優勝できなかったことが確定したが、4人は胸を張って銀色のメダルを首に掛けた。

チームの中軸を担ってきたのは、内村航平らの8学年下、1996年生まれの萱と谷川だった。

萱は、ずっとプライドを持ってきた。「世界から日本が弱いと思われるは嫌だった」。強い気持ちはコロナ禍に揺れた昨季もぶれなかった。朝早く起き、大学院の修士論文の作業や執筆をしてから練習へ。自律した毎日を徹底して続けた。両腕を広げると174センチ。身長より10センチ以上長い腕をうまく操り、気迫のあん馬などで仲間を牽引(けんいん)した。

「体操を知ってもらいたい。選手たちは頑張っているから」と語っていたのは谷川だ。その実現のため、大学卒業後、内村に続いてプロ選手になることを考えた。周囲の説得もあって現在の所属先に進んだが、体操の魅力が広まってほしいとの思いは変わらない。

この日、跳馬でリ・セグァン2を実施。「最後のひねりに入るタイミングが早くても遅くてもできない。そこの幅がすごく狭い」という最高難度の技を完璧に決め、15・233の高得点でチームを流れに乗せた。

「夢の時間を過ごせた。悔しさもあるが、やり切れてすがすがしい気持ちもある」と萱が言えば、谷川は「楽しかった。いつもと違う雰囲気の特別な試合だった」と振り返った。2人はパリ五輪も狙える年代。19歳の橋本、18歳の北園も、さらなる成長を誓う。銀メダルとともに抱いた気持ちは確実に3年後へとつながっていく。(宝田将志)

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