韓国大統領府は27日、関係悪化に伴い昨年6月以降遮断されていた北朝鮮との通信回線が同日午前10時に復旧したと発表した。北朝鮮の朝鮮中央通信も同日、回線復旧を認め「相互信頼を回復し、和解へ向けた大きな歩みを踏み出す」ことで合意したと報じた。
韓国大統領府は発表で「4月以降、数回親書を交換し、南北関係の回復について意思疎通してきた」とし、「まずは断絶していた通信連絡回線を復旧することで合意した」と経緯を説明した。
北朝鮮は昨年6月、韓国の脱北者団体が金正恩(キム・ジョンウン)政権を批判するビラを散布したことに対する報復措置として、南北首脳間のホットラインを含む通信回線を完全に遮断したと発表。直後には北朝鮮・開城(ケソン)の南北共同連絡事務所を爆破した。
一方、正恩氏は今年6月に開催された朝鮮労働党中央委員会総会で「対話も対決もすべて準備しなければならない」などと述べ、バイデン米新政権発足後初めて、米国との対話方針に言及。韓国紙は今月に入り、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と正恩氏が親書を交換し、南北首脳会談の実施について議論したと報じていた。(ソウル=時吉達也)