関西国際空港などを運営する関西エアポートは27日、平成30年9月の台風21号による浸水被害を受けて実施してきた防災対策工事の様子を報道陣に公開した。護岸のかさ上げはほぼ完了し、波の勢いを弱める消波ブロックの設置も10月末に完成する見通し。5メートルもの高波が護岸を越えた21号規模の台風でも浸水を防ぐ備えが整うという。
護岸は、台風21号で大きな浸水があった1期島の約6キロを最大2・7メートルかさ上げ。工事は今年4月にほぼ完了した。さらに消波ブロックを、越波が大きかった東側と南側の護岸のうち約4・5キロにわたり約3万9300個設置。現在までに作業は約80%終えている。
現場では、重さ12~20トンのコンクリート製ブロックをクレーン船で運び1つずつ海底に据え付ける作業が続けられ、積みあがったブロックが護岸に顔をのぞかせていた。
また、1期島の第1ターミナル付近に設置している高さ約2メートルの防潮壁の設置は今夏中に終える。航空機に燃料を供給する給油地区の防潮壁は完成済み。関西エアの担当者は「滑走路などに台風21号の2倍以上となる600万立方メートルの浸水があったとしても、ターミナルまで水が入らないようにする」と説明した。
一方、ターミナルの停電を防ぐための電源設備の地上化は昨年秋に完了。消波ブロック設置が終われば、工事は護岸かさ上げに伴う滑走路・誘導路のかさ上げを残すのみとなり、来年秋頃に工事全体が完成する予定。
台風21号では、高さ5メートルの高波が護岸を越え、滑走路や電源設備が浸水した。さらに対岸との連絡橋に風であおられたタンカーが衝突して通行不能となり、一時、約8千人が取り残される事態となった。関西エアは令和元年5月から防災対策工事に本格着工し、総事業費約541億円(うち270億円は国が負担)を見込んでいる。