【北川信行の蹴球ノート】「奇跡のチーム」の遺伝子持つ岩渕が崖っぷちのなでしこ牽引する - 産経ニュース

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【北川信行の蹴球ノート】「奇跡のチーム」の遺伝子持つ岩渕が崖っぷちのなでしこ牽引する

背番号10をつけてプレーするなでしこジャパンの岩渕真奈=24日、札幌ドーム(撮影・村本聡)
背番号10をつけてプレーするなでしこジャパンの岩渕真奈=24日、札幌ドーム(撮影・村本聡)

ここまで1分け1敗と勝利のないサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」が27日夜、宮城・キューアンドエースタジアムみやぎで、1次リーグE組最終戦のチリ戦に臨む。勝てば決勝トーナメント進出となるが、負ければ敗退が決まる大一番。鍵を握るのは、エースの岩渕真奈(28)=アーセナル=だ。大黒柱の澤穂希さん(42)がつけていた背番号「10」を受け継ぐアタッカーは「いろんなことを背負い、この場に立っている」と並々ならぬ覚悟を口にする。

ブームを巻き起こしながら、2016年のリオデジャネイロ五輪出場を逃すなど栄枯盛衰を経験してきたなでしこジャパンには、確固たる目標がある。ちょうど10年前の11年7月にワールドカップ(W杯)で世界の頂点に立ち、翌年のロンドン五輪でも銀メダルに輝いた「奇跡のチーム」(高倉麻子監督)に追いつき、追い越すこと。岩渕は当時を知る数少ないメンバー。10代のころから天才ドリブラーとして将来を嘱望され、澤さんや後に主将となった宮間あやさん(36)らに「ぶっちー」とかわいがられてきた。

その分だけ、なでしこジャパンに強い思い入れがある。世代交代が進み、大きく若返ったチームを牽引(けんいん)するのが、澤さんらが体現してきた「ひたむきさ」や「あきらめない姿勢」の大切さを知る自分の役目だとも思っている。メダル候補の英国に0-1で敗れた24日の1次リーグ第2戦後には「とにかく下を向いている暇はない。次に勝つしかない。顔を上げて進みたい」と決意表明した。

6月18日に行われた五輪代表メンバーを発表する記者会見。高倉監督は「なでしこの象徴的な10番といえば、澤(穂希)さん。背負うのは、とても重い意味がある」と説明した上で、人間的にも成長したことを理由に、特別な背番号を岩渕に託すことを明らかにした。そして「チームの浮き沈みを背負って立つくらいの気迫で、躍動してくれることを期待する」とエールを送った。

指揮官の思いは、十分すぎるほど分かっている。そして、東京五輪でのなでしこジャパンの活躍が、今後の日本の女子サッカー人気を左右することも。だから痛めた右膝の状態が万全でなくとも、戦いをやめるわけにはいかない。

「苦しい時は、私の背中を見て」-。かつて澤さんはそう言ってチームメートを励ました。「奇跡のチーム」の〝遺伝子〟を持つ背番号10は、同じ気持ちを胸に、最後まで走り続ける。

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