露首相が択捉島訪問 2年ぶり 北方領土の実効支配を誇示

択捉島の中心地、紗那(ロシア名クリーリスク)の街並み=2014年(鈴木健児撮影)
択捉島の中心地、紗那(ロシア名クリーリスク)の街並み=2014年(鈴木健児撮影)

【モスクワ=小野田雄一】ロシアのミシュスチン首相が26日、同国が実効支配する北方領土の択捉島を訪問した。ロシア通信が伝えた。ロシア政府は25日に、ミシュスチン氏が26~29日の日程で、北方領土含む極東地域を訪問すると発表していた。

露首相の北方領土訪問は2019年8月のメドベージェフ前首相の択捉島訪問以来、約2年ぶり。他国への領土割譲を原則的に禁じる条項が新設された昨年の露憲法改正後では初。ロシアは近年、日本の抗議を無視する形で北方領土への軍備増強や経済投資を拡大しており、東京五輪期間中となる今回の訪問にも実効支配の強まりを誇示する思惑がうかがえる。

ミシュスチン氏は択捉島で病院や水産加工場などを視察する予定。極東サハリン州やハバロフスク地方、シベリアのイルクーツク州なども訪れ、現地知事らと会談するほか、住宅や工場などを視察する。

ミシュスチン氏の極東訪問をめぐっては、プーチン大統領が23日、露国家安全保障会議の席上で、「南クリール諸島(千島列島と北方領土の露側呼称)に特別な注意を向けてほしい」と述べ、北方領土訪問を実質的に指示していた。

ロシアでは9月、大統領選に次いで重要とされる5年に1度の下院選が予定されている。極東は伝統的に反中央意識が強く、露メディアからは今回のミシュスチン氏の訪問について、「政権の極東重視姿勢をアピールするための選挙対策だ」との見方も出ている。