スケボー「金」の13歳西矢、五輪新時代を象徴

スケートボード女子ストリート決勝 記者会見を終え、写真撮影に応じる西矢椛(左)と中山楓奈=26日、有明アーバンスポーツパーク(川口良介撮影)
スケートボード女子ストリート決勝 記者会見を終え、写真撮影に応じる西矢椛(左)と中山楓奈=26日、有明アーバンスポーツパーク(川口良介撮影)

26日に行われたスケートボード女子ストリートで、13歳の西矢椛(もみじ)が金メダルを獲得した。3位に中山楓奈(ふうな)が入った。

日本人2人の表彰台は決まった。あとはその色。中山の最後のベストトリックが失敗に終わった瞬間、日本五輪史上最年少、13歳10カ月26日の金メダリストが誕生した。「初めての五輪で史上最年少を取れてうれしいです。うれしすぎたから、涙がこみ上げてきました」。西矢はあどけない顔をほころばせた。

予選は2位通過。決勝は45秒間で複数の技を繰り出すランで3位につけると、一発技を競うベストトリックの4回目で4・66をマークし首位に立った。最終5回目も成功させ、最後は「(中山に)乗って(成功して)ほしいけど、乗ってほしくないというか…」と、複雑な思いで中山の結果を待った。勝利の女神は、お笑い芸人の千鳥が好きな、大阪の普通の中学2年生にほほえんだ。

表彰式の風景は五輪の新時代を感じさせた。銀のレアウ(ブラジル)も13歳、銅の中山は16歳。英紙テレグラフ(電子版)は「これより若い顔ぶれの表彰台が過去にあっただろうか」と驚きを持って伝えた。

日本代表の早川大輔コーチが「20歳を超えたら中堅からベテラン」と語るほど、スケートボードは若い世代が活躍している。日本スケートボード協会の横山純事務局長は「大人になると体がけがに耐えられず、競技を続けるのが辛くなる」と指摘。着地でひざなどに負担がかかるため、体重が軽い幼少期の方が有利な面があるという。

スケボーなど「都市型スポーツ」は、若者のスポーツ離れに危機感を抱く国際オリンピック委員会(IOC)の肝煎りで加わった東京五輪の目玉の1つ。今回の結果は、これ以上ない形で競技の魅力を世界の若者にアピールした形だ。

前日にストリート男子初代王者となった堀米雄斗(XFLAG)に続く快挙に「スケボー王国」との声も聞こえてくるが、国内に専用練習場は少なく、その危険性から禁止されている公園も多いのが現状だ。「楽しいし、面白いからみんなやってほしい」と西矢。13歳の女王の言葉は、日本のストリートシーンを変えるかもしれない。(森本利優、神田さやか)

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