卓球・張本、内外のアクシデント乗り越え初戦突破

【東京五輪2020卓球】男子シングルス・林兆恒戦で勝利した張本智和=26日、東京体育館(恵守乾撮影)
【東京五輪2020卓球】男子シングルス・林兆恒戦で勝利した張本智和=26日、東京体育館(恵守乾撮影)

卓球の張本智和が26日、シングルス3回戦で勝利した。

数々の最年少記録を打ち立ててきた日本のエースにとっても五輪初戦の緊張感は特別だった。「空気が重い。1点も取れそうにないな」。コートに入り、そんな思いが芽生えたという張本だが、代名詞の雄たけびを連発して自らを奮い立たせた。過去1勝1敗の林を4-1で下すと、体を反り返らせて勝ちどきを上げ、右こぶしを突き上げた。

6-9とリードを許した第2ゲーム終盤、トラブルが起きた。卓球台の端にぶつけた右手甲から出血し、治療を受けた。だが18歳は冷静だった。「相手も(試合)感覚が少しなくなるんじゃないか。打たせてみよう」。間が空いたことを好機ととらえ、攻めるよりも冷静に打ち返してミスを誘い、このゲームを13-11で奪った。第4ゲームは相手がタオルを置く場所を間違え、消毒作業のために一時中断。ここでも落ち着きを失わず、開始から5連続失点の劣勢を立て直して12-10でもぎ取った。

実は不測の事態は試合前から起こっていた。27日午前に組まれていたはずの初戦が、突如1日前倒しされた。25日夜にスタッフからの連絡で知った張本は、ラバーを張り替えるタイミングを失ったが、「(27日に3、4回戦を戦うより)1日1試合の方が楽」と自身に言い聞かせてやり過ごした。数々のアクシデントを乗り越えてつかんだ五輪初白星。次戦については「この状況を想定すれば対応できる」と力強く言い放った。(奥村信哉)

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