TOKYO取材ノート

開会式の夜 競技場脇で何があったか

開会式が行われ、花火が打ち上げられた国立競技場=23日夜、東京都新宿区(佐藤徳昭撮影)
開会式が行われ、花火が打ち上げられた国立競技場=23日夜、東京都新宿区(佐藤徳昭撮影)

五輪開会式の日、東京・国立競技場(新宿区)の周辺取材で、人だかりに気づいた。五輪マークのモニュメント前で記念撮影をしようという人たちだ。

順番に入れ替わりながら記念撮影しており、その場に長く滞在する人はいなかった。それにしても、街中でこれだけの笑顔を見たのは久しぶりだ。

無観客で行われた異例の開会式が始まると、その場にいた人たちは、スマートフォンで中継映像を見つめながら、競技場から漏れる音に静かに耳を澄ませ始めた。花火に歓声が上がる場面もあったが、世界的なイベントが眼前で行われているにしては粛然とした雰囲気にみえた。

競技場から君が代がかすかに聞こえる。重低音の振動が身体に伝わり、五輪がこの街で行われるという実感が湧きあがった。その場にいた人らも、五輪の空気を共有し、記憶にとどめたいと感じていただろう。

子供たちが競技を直接、見ることができたなら、どれほど大きな影響を与えただろうか、とも考えた。

緊急事態宣言下での大会開催にいまだに賛否はある。現に、競技場周辺には大旗を掲げながら密集し「五輪つぶせ」と叫び声をあげる一団もいた。

五輪の自宅観戦が奨励されるなか、あえて競技場近くに集まることには否定的な人もいるかもしれない。だが、粛然と競技場を見守る人たちの「東京五輪を近くで実感したい」という思いには共感できた。(西山瑞穂)

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