水谷伊藤ペア 「じゅん」「みま」の絆で卓球初の金 - 産経ニュース

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水谷伊藤ペア 「じゅん」「みま」の絆で卓球初の金

混合ダブルスで金メダルを獲得し、抱き合って喜ぶ水谷隼(右)と伊藤美誠=東京体育館
混合ダブルスで金メダルを獲得し、抱き合って喜ぶ水谷隼(右)と伊藤美誠=東京体育館

観客のいない東京体育館。静寂の後、勝利の雄たけびが響き渡った。今大会で初採用された卓球の混合ダブルス決勝で、中国ペアを破り、金メダルを獲得した水谷隼(じゅん、32)と伊藤美誠(みま、20)。12歳の年の差ながら、お互いを「じゅん」と「みま」と呼び、息の合ったプレーを見せた2人が、日本卓球界初の五輪金メダルをつかんだ。

試合中は多くの言葉を交わさない。心が通い合っている自信があるからだ。一度も勝ったことのない中国ペアに、2ゲームを先取されたが、その後は3ゲーム連続で取り返し、勝負は最終第7ゲームへ。一気に集中力を高めた水谷と伊藤は好プレーを連発。連続ポイントを奪うと、互いの目を見つめ、拳を突き合わせた。最後は伊藤のサーブで決着。水谷が伊藤に駆け寄って抱き合い、喜びを爆発させた。

「最初は厳しい場面もあったが、息が合っていた。お互いが要所で決めて勝ってくれた」

静岡県磐田市の自宅で家族と決勝戦を見ていた水谷の父、信雄さん(61)は試合後、声を弾ませ、こう語った。幼いころから家族ぐるみの付き合いの中で、2人を見てきただけに、うれしさもひとしおだ。

2人が腕を磨いたのは、磐田市の卓球クラブ「豊田町卓球スポーツ少年団」。水谷の両親が平成6年に設立し、水谷は1期生として5歳で、伊藤は4歳で入団した。子供たちは年齢や学年の分け隔てなく練習に取り組み、中学生が小さい子供の面倒をみる。そんな雰囲気の少年団だった。

2人は、ともにこのクラブで世界に通用する実力をつけてきた。トップレベルの選手が幼い頃から専属コーチに指導を受けることが多い中、少年団が五輪選手を2人も輩出するのは異例の快挙だ。

水谷のことを「じゅん」と呼ぶ伊藤に対し、水谷は「みま」と返す。そんな2人が五輪でペアを組んで出場することは、「考えてもいなかった」と水谷の母、万記子さん(59)。

ただ、伊藤を幼いころからかわいがり、26年に亡くなった水谷の祖父、鈴木暁二(きょうじ)さんだけは、昔から「2人がミックスを組んだらうれしいな」と話していたという。

「おじいちゃんの夢がかなった」と万記子さん。夢のペアは世界の頂点を極めた。15年以上前から続く「じゅん」と「みま」の物語。五輪の舞台で新たな一ページが刻まれた。(内田優作、西山瑞穂)

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