話の肖像画

デザイナー・コシノジュンコ(81)(25)亞門さんとの出会い、ブロードウェーへ

ブロードウェーで上演されたミュージカル「太平洋序曲」のポスター (Gorgeous Entertainment提供)
ブロードウェーで上演されたミュージカル「太平洋序曲」のポスター (Gorgeous Entertainment提供)

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《2004(平成16)年、思わぬ出会いから、壮大なプロジェクトに参加することに。演出家、宮本亞門氏が手掛け、ブロードウェーで上演する舞台「太平洋序曲」の衣装を担当することになったのだ》


不思議な出会いがあった。母と新橋演舞場(東京)へ、お芝居を見に行ったときのことです。

演舞場の表で開場を待っている際、目の前にある喫茶店を指して「ここは宮本亞門さんのご実家なのよ」と母に教えていると、その角から、亞門さんご本人が歩いてきたのだ。

「今ちょうど、あなたの話をしていたのよ、不思議ね!」と声をかけると、亞門さんも「えっ! ジュンコさん」と驚いた様子。

なんと、亞門さんは「ブロードウェーで上演する舞台の衣装を誰がやったらいいか考えていたら、前からジュンコさんが歩いてきた」と言うのです。

聞くところによると、3日後にニューヨークに渡るからそれまでに舞台衣装のデザイン画をまとめなければいけない、という話でした。当時は、メールやチャットの技術は進んでおらず、海外にいる相手と連絡を密に取り合うのは困難。だから、亞門さんが日本にいる間にすべてを描き上げなければならなかった。

とても大変な仕事だとは思ったのですが、ブロードウェーの衣装制作は、またとないチャンス。それに、これもまた何かの運命。覚悟を決めて引き受けることにしました。