主張

日本勢の躍進 五輪開催がくれた感動だ

競技が本格化した東京五輪は、日本勢が連日の金メダル獲得で大会序盤を盛り上げている。

柔道では、日本の夏季五輪史上初の快挙が生まれた。男子66キロ級の阿部一二三(ひふみ)と妹で女子52キロ級の詩(うた)による、きょうだい同日金メダルである。

新種目のスケートボード男子ストリートでは、22歳の堀米雄斗(ゆうと)が初代五輪王者に輝き、競泳女子400メートル個人メドレーでは、初出場の大橋悠依(ゆい)が頂点に立った。

日本勢の勇躍は必ずしも大会の成功を意味しないが、明るい話題は社会の活力になる。新型コロナウイルス禍をはねのける若い力に拍手を惜しまない。

優勝した直後の、阿部一の姿が印象的だった。喜びの表現を自重し、正座で深々とお辞儀をしてから畳を後にした。「たくさんの人のおかげで五輪開催にたどりついたので」と理由を語り、周囲や国民の応援に深謝した。

われわれも歴史的快挙の証人となれた喜びを、選手たちとともに分かち合いたい。

堀米は10代から国内大会で頭角を現し、高校卒業後に米国に活動拠点を移した。最高峰の米プロツアーで実績を重ね、6月の世界選手権では初優勝を飾っていた。

スケートボードは、技の難度や完成度に加え、誰も試みたことのない技がより評価される。堀米は独創的な技の使い手として、本場米国のファンにもトップ選手の一人として認められている。日本人の身体表現に新たな道を開いた点でも、この金は価値が高い。

競技会場の有明アーバンスポーツパークは、堀米の生まれ育った東京都江東区にある。郷里での凱歌(がいか)は、阿部きょうだいと同様に奇跡的なめぐり合わせだった。

これもスポーツの力である。われわれがテレビ観戦を通じて喜びや感動を共有できたのは、五輪開催という決断があったからだ。

競泳女子400メートルリレーでは、オーストラリアが世界記録で金メダルを獲得した。この1年、スポーツは危機的な状況に追いこまれながらも、選手たちは前進を続けた。少なくとも、彼らはコロナを見事に克服したといえる。

この興奮が8月8日の閉幕まで続くように、大会組織委員会にはコロナ対策を含む安全な運営に引き続き努めてほしい。スポーツを通じた人間の強さと可能性を、東京から世界に発信し続けたい。

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