東京五輪が開幕した。一方で、今や世界的な問題になっているのが運動不足だ。新型コロナウイルスの感染拡大によりさらに深刻化する運動不足は、さまざまな健康リスクを高めるだけではなく、生活の質の低下も招く。アスリートたちの熱い戦いを見ながら、少しだけ体を動かしてみては? 〝日本最高齢のフィットネスインストラクター〟がエールを送る。(榊聡美)
65歳からジムへ
健康寿命を延ばすために、適度な運動を続けることは欠かせない。そうした意識が働き、世代別で比べると高齢者は比較的、運動熱心な傾向がある。
厚生労働省が発表した令和元年の「国民健康・栄養調査」によると、日頃から運動習慣(1回30分以上を週2回以上、1年以上継続)がある人は、20~64歳だと男性は約24%、女性は約17%。一方、65歳以上では男性が約42%、女性は約34%と大きく上回る。
それでも、国が進める健康づくり運動「健康日本21」の目標値(男性58%、女性48%)には届かない。近年は、毎日運動する人と全くしない人とに二極化し、特に高齢女性の運動習慣がないのが目立つ。
「もう年だから」と、尻込みする人の背中を押す、フィットネスインストラクターがいる。昭和6年生まれで今年90歳を迎えた「タキミカ」こと、瀧島未香さんだ。
専業主婦だった瀧島さんが運動を始めたのは、一般的に年金受給が始まるとされる65歳から。きっかけは、家族からの「太ったね」の一言だった。「テレビを見てゴロゴロして、お煎餅食べて…。そんな生活で今より15キロも太っていたんです。確かに、おなかが邪魔してお風呂掃除もまともにできなかったけれど、自分では気づかなかった」と振り返る。
一念発起してフィットネスジムに通い、筋トレやエアロビクスで汗を流し、じっくりと5年ほどかけて元の体重に戻した。当初の目的を果たしたが、ジム通いはやめなかった。
「不思議とハマってしまったんですね。もともと私の中に『運動が好き』という気持ちがちょっぴりでもあったんだと思います」