五輪延期で疾患発症… 與那嶺恵理、試練乗り越え 自転車女子ロード

25日午後の自転車女子個人ロードレースに出場する與那嶺恵理。東京五輪まで2カ月を切った6月に血管の疾患が発覚したが、試練を乗り越え大舞台に挑む(武井享介コーチ提供)
25日午後の自転車女子個人ロードレースに出場する與那嶺恵理。東京五輪まで2カ月を切った6月に血管の疾患が発覚したが、試練を乗り越え大舞台に挑む(武井享介コーチ提供)

リオデジャネイロ大会に続き2度目の五輪に挑む自転車女子ロードの與那嶺恵理(30、チームティブコ・SVB)は、東京五輪が1年延期されている間に先月、選手生命を左右する血管の疾患が発覚した。「何で今…」と、どん底に突き落とされた。しかし、自転車の乗車ポジションやトレーニング方法を変え、ベストを尽くして調整を続けた。25日午後の個人ロードレースは、試練を乗り越え「全てを力に変えて」ペダルを踏む。

與那嶺は筑波大学時代に自転車競技を始め、わずか1年足らずで日本選手権2位に食い込むなど非凡な才能を発揮。以降、日本選手権ロードレースを5度制覇、2016年からは本場・欧州のプロチームに所属し、過酷なワールドツアーを転戦して世界の強豪と渡り合ってきた。

16年のリオ五輪では個人ロードレースで終盤に落車しつつ17位でゴール、個人タイムトライアルは15位と上位をうかがった。母国開催の東京五輪は選手生活の集大成にしようと、メダルを目標にトレーニングを重ねた。

ところが今シーズンに入ると、レース中に突然右足に力が入らなくなる症状に何度も襲われた。休養をとって体調回復を図ったが、症状は再発。6月に入って、専門医から「外腸骨動脈の線維化症」と診断された。骨盤付近を貫いて足へ続く太い動脈が折れ曲がってしまうことで、血流が悪化し、足にしびれが生じたり、力が入らなくなったりする珍しい疾患だ。自転車選手やスキー選手で稀に発症しており、長時間続く独特の動作や、それに伴う筋肉の増大などが原因と考えられるという。

與那嶺の競技生活に致命的な影響を与えかねないが、手術をすれば4~6週間は自転車に乗れず、東京五輪に間に合わない。「1年前に五輪が開かれていれば」。受け入れがたい現実に、涙が止まらなくなったという。

しかし、デビュー当時から師事する武井享介コーチ(42)らと相談し、五輪まで1カ月の計画をすべて見直した。右足の動脈に負担がかからない乗車ポジションを研究し、レーススケジュールはキャンセルして高地合宿へ。自分を支えてくれる人たちを信じて、再び東京五輪に向かって前進を始めた。

今は、10年間の努力を結実させるために、迷いを吹っ切った。ネガティブな感情は捨て、25日の個人ロードレースと28日のロード個人タイムトライアルに集中している。與那嶺は24日夜、「一生に一度の、母国開催の五輪。今の一瞬一瞬を楽しみたい」とSNSに綴った。(上野嘉之)

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