【話の肖像画】デザイナー・コシノジュンコ(81)(24)制服やユニホームに込める思い - 産経ニュース

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話の肖像画

デザイナー・コシノジュンコ(81)(24)制服やユニホームに込める思い

ハイアットプレイス東京ベイ(現ハイアットリージェンシー東京ベイ)のユニホームも手掛けた
ハイアットプレイス東京ベイ(現ハイアットリージェンシー東京ベイ)のユニホームも手掛けた

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《学校や企業、そしてスポーツチームと、これまで多くの「制服」のデザインも手掛けている。2017(平成29)年には、陸上自衛隊の特別儀仗(ぎじょう)服のデザインを監修。安倍晋三前首相が「文化の薫りがする、期待に見事に応えていただいた素晴らしい制服」と話した。制服のデザインに込める思いとは》


「躾(しつけ)」という字は「身を美しくする」と書きます。制服をきっちりと身にまとうことで、幼いころから自然とTPOが学べるようになるのではないかと考えています。

海外の場合は制服がないことが多い。海外では、「個人主義」が大きく作用し、同じ制服を着ることに違和感や差別を感じる人もあると聞いています。でも日本の場合、学校では個人と同様に「集団」であることも尊ぶ。お勉強でも体育でも、同じ科目を平等に学びます。

それは制服も同じ。同じ服を着ることによって、規律や学校という「小さな社会」を学んでいくことにつながっているのではないでしょうか。


《手掛けた制服はどれも、ジャケットの襟にワンポイントがあったり、スカートの裾にチェックが施されていたり…と凝ったものに仕上がっている》


制服にあこがれて入学を決める人も少なくないと思います。その学校の「カラー」を瞬時に示すものが制服ですからね。私は、生徒それぞれがきれいに、かわいく見えることを大切にデザインをしています。そして、華やかで統一感が取れていることも重要ですね。

でも中高生は思春期ですから、ちょっと不満があったり、はみ出してみたい子もいると思う。だからこそ、きっちり着こなした方が「かわいいな」と思ってもらえるものを作りたかった。長い間、毎日着るものだから、かわいい服の方がうれしいですよね。

途中で制服を変えると、全員に行き渡るには3年間かかります。時間をかけてそろえた制服姿は、集団の美しさを感じ、うれしい瞬間です。

制服で街を歩くと、どこの学校か分かるから、生徒はプライドと威厳を持つようになる。制服を着ることで、その子の自信につながるように―それも教育になっているのではないかと思っています。


《スポーツチームのユニホームも多く手掛けている》


サッカーのヴェルディ川崎(当時)や男子バレーボール日本代表、読売ジャイアンツのグラウンドコート―など、いろいろと手掛けました。私はユニホームの重要性は、岸和田のだんじりから学びました。その町の法被を着ていないと、その町のだんじりは引けない。同じ環境で育ち、同じものを着て、同じ精神でだんじりを引く。士気が高まりますよね。

これはスポーツでも通じることではないでしょうか。ユニホームの「uni」とは、「一つになる」ということを意味しています。やはり、その役割は小さなものではない。着るものによっても左右されるほど勝負の世界は精神面が大切だと考えるからです。

服装は見た目だけでなく、「気持ち」にもあらゆる影響を与える重要な役割を担っているのです。(聞き手 石橋明日佳)

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