3Dプリンターの家は300万円24時間で建つ

日本では繊維大手のクラボウが5月、フランスの3Dプリンター企業と組み、塀などの建材やモニュメントなどの製作・販売を開始したと発表。クラボウは今後、住宅メーカーと組み、「住宅建設事業にも参画していきたい」(広報担当者)考えだ。

一方、セレンディクスパートナーズの小間裕康最高経営責任者(CEO)は自社のプロジェクトについて、「単に安い家をつくることだけが目的ではない。あくまでも、さまざまな素材を使って、自在に建造物をつくれる3Dプリンターの技術を活用し、未来の住まいを提供することが狙いだ」と強調する。

同社は現在、住宅や素材メーカー、通信事業者など約20社と連携し、新住宅に適した断熱性や通気性の高い外壁、外部の光をより多く取り込める窓などの実現を目指している。最新の情報通信技術を活用した防犯、防災などの居住者向けサービスの導入も目指す。

また、令和7年に開催される大阪・関西万博への出展も計画している。「木造住宅の建設手法は約400年間変化していないのが実態。それをゼロから再発明して、未来の住宅を提示しようとしている。世界が注目する万博を通じて、世界最先端の家を見せたい」と小間氏は語る。

耐震性証明のハードルも

建設業界では、若年層の就労者減少や、既存従事者の高齢化などが深刻な問題となっており、ロボットなどを活用した省人化が喫緊の課題となっている。

業界関係者は「住宅建設における3Dプリンターの活用は、建築基準法における認可の取得や、耐震性の証明など、超えるべきハードルは少なくない」としながらも、「建設現場での労働者不足は確実に進んでおり、住宅メーカーにとって3Dプリンターは重要な検討課題になっていくだろう」と話している。(黒川信雄)

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