警視庁の矜持、糸数2大会連続4位 重量挙げ男子61キロ級

男子61キロ級 ジャークで159キロに成功した糸数陽一=東京国際フォーラム
男子61キロ級 ジャークで159キロに成功した糸数陽一=東京国際フォーラム

25日に行われた東京五輪重量挙げ男子61キロ級に出場した糸数陽一(30)=警視庁=は、3位の選手にわずかに及ばず、2016年リオデジャネイロ五輪に続いて2大会連続の4位入賞となった。同僚選手にフォームの指導をしたり、練習方法を教えたりするムードメーカー。「警視庁警察官として覚悟を持って」と臨んだ今大会もメダルには届かなかったが、同僚らの応援を胸に堂々とした戦いを見せた。(宮野佳幸)

「おっしゃ!」。バーベルを一気に頭上まで挙げるスナッチの3本目。133キロを成功させた糸数はそう雄たけびを上げた。この時点で3位。続いて鎖骨の高さまでバーベルを持ち上げてしゃがみ、頭上まで挙げて立ち上がるジャークでは2本目に159キロを成功させ、ガッツポーズ。しかし3本目で失敗し、あと一歩でメダルを逃した。

糸数は沖縄県南城(なんじょう)市出身で、6人きょうだいの長男。高校で重量挙げをはじめ、日大から警視庁に入り、第8機動隊に所属する。

普段の糸数は「面倒見がよく、いるだけで練習場が活気づく」(コーチを務める仲程(なかほど)忠史巡査部長)。同僚の吉野千枝里巡査部長によると、リオ五輪から帰国した後はくたくたに疲れた様子で、体も小さく見えたという。それでもメダルを逃した悔しさをぶつけるように2、3日後には練習を再開していた姿が目に焼き付いている。

「オリンピックに出たら人生が変わる。メダルを取ったら、もっと人生が変わる」

大会前、ともに練習する比嘉翔矢巡査長には、そう話していたという。

重量挙げの競技自体は個人での戦いだが、糸数はトップ選手として周囲のサポートも欠かさない。ともに練習する警視庁の選手たちにフォームの指導をしたり、けがを防止する練習方法を教えたりもしている。全体練習では、積極的に声を出して同僚らを盛り上げる。

弱音を吐かず、黙々と練習に励むが、昨年、新型コロナウイルスの影響で五輪が延期になった際は悔しそうな様子をにじませた。それでも「自分より年上でギリギリでやっている人もいる。文句は言っていられない」。前向きに練習に取り組み続けた。

厳しい減量やけがとも戦い、30歳で迎えた今大会。今回もメダルにはわずかに届かなかったが、東京五輪で「警視庁警察官として覚悟を持って試合に臨みたい」と語っていた言葉通り、同僚らの応援を背に、精いっぱい戦い抜いた。

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