住宅クライシス

賃貸大手に2・8億円請求 架空工事の責任誰に

ファイン社側は22年から29年までの間、「退去リフォーム」「リノベーション工事」「屋上防水工事」などの名目で403回に分けて計約6150万円をエイブル側の指定口座に支払ったが、工事が実施された形跡はなかった。また、令和元年7月末まで9年弱にわたり、約5056万円の賃料がファイン社側に正しく支払われなかったという。

エイブル側は、1回目弁論翌日の7日付のプレスリリースで、架空リフォーム代金は「当社(エイブル)の口座には送金されていない」と記した。これに対し藤原弁護士は、リフォーム代金はエイブルの押印がされた請求書類に従い送金したと明かした上で、「たとえ元派遣社員の不正だったとしても、一括管理の契約先だったエイブルは責任を免れない」との考えを示している。

示談模索するも…

エイブル側は、この元派遣社員が不正に関与したとみて、大阪府警に刑事告発している。元年7月には、エイブルと派遣会社、ファイン社の3社で架空リフォームと賃料未払いに関する損害を3等分し、全体の3分の2に当たる計約6016万円を、エイブルと元派遣社員の所属先だった派遣会社の2社が共同で支払う内容での示談案を提示。ところがファイン社側は、残り3分の1の額を自社の過失分として認めなければならない内容だったことなどを理由に、応じなかった。

エイブル側は訴訟に発展してもなお、ファイン社側にも責任が存在するとの姿勢を変えていない。答弁書では、仮にエイブル側の法的責任が認められるとしても、原告側がリフォームの実施状況を確認していない▽原告側の税理士が不審点に気づきながら十分な確認をしていない-ことなどから、過失は大幅に相殺されるべきだと主張している。

産経新聞は、示談を模索した経緯などをエイブル側に尋ねたが、同社の担当者は「訴訟中であり回答はできない」などとコメント。ファイン社側の担当者は「エイブルを信頼し管理を任せていた。経緯を明らかにしてほしい」と述べており、真相解明は民事、刑事両面で進むことになりそうだ。(岡嶋大城)

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