内村、突然の幕 鉄棒落下で予選落ち 「見せられる夢、ここまでかな」

【東京五輪2020 体操男子予選】鉄棒で落下した内村航平=24日、有明体操競技場(川口良介撮影)
【東京五輪2020 体操男子予選】鉄棒で落下した内村航平=24日、有明体操競技場(川口良介撮影)

24日に行われた東京五輪体操男子予選で種目別鉄棒に臨んだ内村航平(ジョイカル)は落下が響き、8位までの決勝進出を逃した。

バランスを失い、右手がバーから外れ、内村の体が背中からマットに落ちた。木製の客席が並ぶガラガラの館内に、見ていた者たちの悲鳴が短く響いた。顔の色を無くした32歳は演技を再開したものの、最後の着地を決めた後、視線は力なく下に落ちた。

「自分に対しては『何やってんだバカ』。それ以上でもそれ以下でもない。僕が見せられる夢は、ここまでなんじゃないかなと思いました」

4度目の五輪は、あえなく幕を閉じた。体操界の〝キング〟は、ひと言も言い訳をせず、ただ自分に失望していた。「もう前みたいに練習してきたことを、そのまま試合で出せる能力がないんだな、と。大きな舞台になるほど出せていた印象だったんですけど」。日々の練習で演技を練り上げ、本番で示すことを何よりも大事にしてきた内村だからこそ、この言葉は重い。

2016年リオデジャネイロ五輪で悲願の団体制覇。激戦を制して個人総合でも2連覇を成し遂げた。考え得る栄光をほぼ手中に収め、そこで有終の美を飾ってもおかしくなかった。だが、次の五輪が東京開催だったからこそ、挑戦すべき「宿命」だと日本初のプロ選手に転身して力を振り絞ってきた。

やせ我慢にやせ我慢を重ねた5年間。「基本、強がりなんですよ。『これに耐えたら楽になるかな』と1回耐えてみる。それは常にやってますね。なにかすぐ言う人って格好悪いと思っちゃうんですよね。そういうの嫌なんです」

長年、酷使してきた肩の痛みは限界だった。強がることができなくなった自分自身を受け入れ、昨季、輝ける場所を求めて鉄棒に種目を絞ったのは相当の覚悟があってのことだ。

会員限定記事会員サービス詳細