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パンダの絶滅危機ランクで見えた中国の皮算用

性別が判明したジャイアントパンダの双子の赤ちゃんのオス=8日、東京・上野動物園(東京動物園協会提供)
性別が判明したジャイアントパンダの双子の赤ちゃんのオス=8日、東京・上野動物園(東京動物園協会提供)

さて、今週ご紹介するのは、本コラムでは珍しい動物に関するお話です。東京都の上野動物園で6月23日、双子のジャイアントパンダが生まれ、話題になっています。小池百合子東京都知事は7月9日の定例会見で、双子の性別がオスとメスだったと発表し、今後、2頭の名前を公募する考えを示しました。そんなジャイアントパンダですが、海外ではいま、パンダの故郷、中国当局の発表をめぐり、さまざまな議論が巻き起こっているのです。

「半世紀にわたる努力の結果」

7月9日付の英紙ガーディアン(電子版)や米公共ラジオ(NPR)などによると、中国当局が同月8日、ジャイアントパンダの野生の個体数が1800頭を超えるまでに回復したとして、絶滅の危機に直面している「絶滅危惧種」から絶滅の危険が増大している「危急種」に引き下げると発表したのです。

中国では、保護団体が過去50年間にわたり、国内の山々にパンダの保護区を設けるなど尽力。政府も1981年にパンダの密猟などを禁止し、保護に努めてきました。生態環境省の自然生態保護部門トップも、今回の分類変更について「(パンダの)生活環境の改善と、生息地の環境整備や統合を続けてきたわが国の努力」の結果と胸を張りました。ところが欧米は、この発表を素直に歓迎していないのです。

5年前は「時期尚早」

実は、5年前の2016年9月、権威ある国際的な自然保護団体「国際自然保護連合(IUCN)」が、パンダを既に「絶滅危惧種」から「危急種」に引き下げていたのです。本来なら中国当局は、この時点で世界に胸を張るべきだったのに、なぜかこの決定に強い不満を表したのです。当時、中国の専門家たちは「この決定は誤解を招くものであり、パンダの現状への危機感が薄れる結果につながる。時期尚早である」などと反論したのでした。

しかし、これはあくまでも表向きの理由。17年11月の英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT、電子版)はこう報じています。<中国政府はこの決定に憤慨し、IUCN側に撤回するよう猛烈なロビー活動を展開した。中国政府は、格下げによってパンダの価値が経済的にも政治的にも低下し、観光収入や海外へのパンダ貸し出しビジネスが脅かされると心配していた。「(格下げで)パンダの価値が下がり、資金調達などが難しくなるため、大きな怒りを招いた」と、この件に詳しい関係者は弊紙に語った>

海外へのパンダ貸し出しビジネス。昨今、物議を醸す〝パンダ外交〟です。欧米では、今回の中国側の決定で〝パンダ外交〟が改めて注目を集めているのです。