白血病から復帰の池江、いざ「運命」のスタート台へ

自身の誕生日に指で21歳を示す池江璃花子=さがみはらグリーンプール(桐山弘太撮影)
自身の誕生日に指で21歳を示す池江璃花子=さがみはらグリーンプール(桐山弘太撮影)

競泳女子の池江璃花子(21)=ルネサンス=が24日夜、女子400メートルリレーの一員として東京五輪のスタート台に立つ。2019年2月に白血病と診断されてから2年半。驚異的なスピードで回復を遂げ、夢舞台の切符をつかんだヒロインは「1年前じゃ考えられなかった環境にいると思うが、これが自分の運命。与えられたリレー種目で使命を全うしたい」と完全燃焼を誓う。(川峯千尋)

1年前の7月23日。池江は聖火がともるランタンを抱え、国立競技場で世界に五輪開催の意義を訴えた。

「スポーツの話をすること自体、否定的な声があることもよく分かります。ただ、逆境からはい上がっていくときには、どうしても、希望の力が必要です」

開幕1年前イベント。スピーチの大役を終えた後、闘病生活の苦しさ、夢を断たれた悔しさが涙になってこみ上げた。「来年、開会式はたくさんの観客に囲まれ、すごい楽しいオリンピックになるんだろうな」。この時点で、思い描いた未来に自分の姿はなかった。

16歳で初出場した16年リオデジャネイロ五輪100メートルバタフライでは5位入賞。大会後、小学校時代に師事した東京ドルフィンクラブの清水桂さん(46)に「(五輪の)魔物はいませんでした」と言ってのけた。18年アジア大会は日本勢初の6冠を果たし、大会最優秀選手(MVP)に輝いた。

しかし、19年2月に白血病の悲劇が襲う。抗がん剤治療は想像を絶するものだった。髪の毛は抜け落ち、一日に何度も吐き戻す。2週間以上、ベッドから身動きがとれず、点滴で命をつないだ。「生きていることがしんどかった」。もうろうとする意識の中、傍らで見守る母、美由紀さんに「死にたい」と言った。心身は病にむしばまれていた。

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