【ニューヨーク=平田雄介】中国の捜査当局が「キツネ狩り作戦」と呼ばれる〝汚職犯〟の摘発活動を米国内で無断で実行したとして、米東部ニューヨークの連邦大陪審は、ストーカー行為などの罪で中国の捜査員9人を起訴した。22日、米司法省が発表した。
司法省によると、9人は2016~19年ごろ、米国内に住む中国人男性を帰国させることを計画。18年9月に東部ニュージャージー州の男性宅に押しかけ「中国に戻って10年服役すれば妻と家族は無事だ」などと書いた置き手紙を残した。
男性の父親を渡米させ、帰国しなければ家族に危害を加えるとの脅迫を男性に伝えさせたこともあった。
武漢市公安局の警察官らも渡米、帰国作戦は米中両国内で展開された。
一連の捜査は米司法省への通知なく行われ、違法に行われたとされる。米司法省幹部は「職業規範に従って行動するのが世界の法執行官だ」と述べ、「このようなやり方で法を破るのは言語道断」と非難した。
キツネ狩り作戦は、習近平国家主席が12年に中国共産党トップの総書記に就任してから始めた、海外に逃亡した〝汚職官僚〟を追跡し国内に連れ戻す摘発キャンペーン。相手国の法的手続やルールを守らず捜査する中国に対し、西側諸国の批判が高まっている。