【主張】東京五輪開幕 明日につながる熱戦望む 歴史的大会へ悪い流れを断て - 産経ニュース

メインコンテンツ

東京五輪開幕 明日につながる熱戦望む 歴史的大会へ悪い流れを断て

わが国は新型コロナウイルス禍の中でも聖火を消すことなく、熱戦の舞台を整えた。「五輪開催」という最後の一線を守り抜いたことは、日本のみならず世界と五輪史にとって大きな意義がある。

コロナの突然のパンデミック(世界的大流行)による1年延期を経て、東京五輪がいよいよ始まった。

東日本大震災からの復興を発信する場として、福島県で行われたソフトボールは、観客のいない会場で日本が2連勝を飾った。

何十億の人々見ている

東京都には緊急事態宣言が発令中だ。首都圏1都3県など大半の競技会場は無観客が決まった。静寂の中で本番を迎えた選手たちの無念さはよく分かる。だが、テレビ桟敷から何十億もの人々が観戦する。その声援の後押しを信じて、奮起の糧にしてほしい。

残念なことに大会組織委員会は混乱を繰り返している。

開会式の演出チームでは、過去の雑誌取材に障害のある同級生へのいじめを告白していた小山田圭吾氏が作曲担当を辞任した。「ショーディレクター」の小林賢太郎氏はユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)をコントで揶(や)揄(ゆ)していたことが分かり、解任された。

人間の尊厳を理解しない者が退場するのは当然だ。このような事態を招いた大会組織委には強い憤りを覚える。悪い流れを断ち切らなくてはならない。

コロナとの戦いも重要だ。

大会名誉総裁の天皇陛下は22日、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長らに対し、「感染症に対する万全の対策を講じながらの大会運営は、決して容易なことではないと思います。皆さんのご尽力に深く敬意を表します」と述べられた。

猛暑の中であっても対策を十分に講じてほしい。

大会の主役は、五輪史上最多の33競技339種目に出場する約1万1千人の選手たちである。

彼らはコロナ禍でも立ち止まることなく鍛錬を続けてきた。感染抑止を含めた日本の開催能力を信じ、世界中から集(つど)ってくれた。大会運営への批判はやまないが、選手たちに落ち度はない。彼らの一挙一動に目を凝(こ)らし、勝者にも敗者にも拍手を送る。そんな心の余裕だけは大事にしたい。

選手が存分に力を発揮できる環境を整え、「日本開催でよかった」と思って帰ってもらえるかどうか。大会の成否は、そこにかかっている。

583人の日本代表にも注文したい。胸を張って戦い抜いてほしい、ということだ。

日本オリンピック委員会(JOC)は「金メダル30個」を目標に掲げてきた。山下泰裕会長は6月の記者会見で「達成が重要かといわれれば『ノー』と明言したい」と述べた。

本当に、そうだろうか。

32歳で4度目の五輪を迎える体操男子の内村航平は、2連覇中の個人総合と決別して種目別の鉄棒に懸ける。相次ぐけがに耐え、なお戦い続けるのは「世界で一番を取りたい気持ち、そこに支えられている」からだという。

スポーツの底力示そう

世界のコロナ感染状況や対策には濃淡がある。自国開催の日本勢は地の利に恵まれている。

だが、この1年は日本勢も海外渡航がままならず、高いレベルの国際試合を経験できない競技は多かった。実戦感覚に不安を覚えながら五輪を迎える選手は少なくない。制約を乗り越えてのメダルラッシュならば、むしろ誇れることではないか。

五輪批判をかわすための「ノー」なら無意味だ。日本勢の闘志に水を差しかねない。「金30個」を掲げ続けるべきだ。

選手たちは、より強い輝きのメダル、一つでも上の順位、自己記録の更新を最後まであきらめないでほしい。遠慮はいらない。

そして、明日のために戦ってもらいたい。未来を担う子供たちがアスリートの背中にあこがれを重ね、スポーツに夢を託すようになれば理想的だ。

「こんな時にスポーツなんて」との批判を今も聞くが、間違っている。こんな時期だからこそ、必要なのだ。スポーツの底力を選手は見せてほしい。

私たちも開催意義を自らに問い、答えを探す17日間にしたい。必ず、意義のある東京五輪にできるはずである。

ボトムコンテンツ

競技別の記事一覧