「この辺、全部焼け野原だったんだぞ。食うもんも何にもなくて…。それがどうだい? 世界一のタワーができて、とうとうオリンピックだぞ」。東京五輪の開会式の日、自動車修理工場「鈴木オート」の社長が叫ぶ
▼視線の先には、航空自衛隊の「ブルーインパルス」が澄み切った秋空に描いた5色の五輪があった。映画「ALWAYS 三丁目の夕日 ’64」の一場面である。57年後の今日、国立競技場の上空には、再び五輪のマークが浮かび上がる
▼とはいえ「とうとうオリンピックだぞ」と叫ぶ気分にはとてもなれない。緊急事態宣言下の東京では、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。陽性反応の結果、出場辞退に追い込まれる選手が今後続出しそうだ