五輪開幕前日に演出の統括解任 相次ぐ不祥事で深まる混迷

小林賢太郎氏(Tokyo 2020提供)
小林賢太郎氏(Tokyo 2020提供)

東京五輪開会式前日の22日、制作・演出チームで「ショーディレクター」を務める小林賢太郎氏(48)が、過去のホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を題材にしたコントを問題視され、解任された。大会組織委員会は内容を再検討した上で開会式を開催する意向を示しているが、小林氏は演出の統括的な立場。わずか1日で小林氏の関与をどこまで〝削除〟できるかは不透明だ。

組織委によると、開会式ではパートごとに演出の担当者がおり、それぞれの内容を決めている。ショーディレクターは個別のパートは担っておらず、全体の統一感が損なわれないよう調整する役割という。

開会式をめぐっては、19日に楽曲制作を担当していたミュージシャンの小山田圭吾氏(52)が過去のいじめ告白で批判を浴びて辞任。小山田氏の楽曲は使用中止となったが、該当したのは冒頭の4分間程度だった。

一方、小林氏は統括的な立場のため、「どこまで関わったといえるのか、線引きが難しい」と組織委関係者。橋本聖子会長は会見で「内容を協議しながら、全力をあげて最後の準備をしていく」と繰り返した。ただ、今回問題視されたのはホロコーストに関する言動のため、国際的な対応は避けられない。記者会見では外国メディアから「どれだけの自信をもって大会を成功できるといえるのか」と追及される場面もあった。

組織委によると、制作・演出チームは1人1人を個別に任命しているのではなく、演出家同士が誘い合って結成したグループを事後的に承認していた。小山田氏の問題を受けて、関係者の言動を調査したが、武藤敏郎事務総長は「過去まで含めて調べるのは困難だった」という。

東京都の小池百合子知事は22日、小林氏の解任について「五輪憲章に反しており、組織委の判断は適切だ」と述べた。都庁で報道陣の取材に答えた。

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