ユダヤ系団体が小林氏非難 開閉会式ディレクター

五輪マークのモニュメント。奥は国立競技場=東京都新宿区
五輪マークのモニュメント。奥は国立競技場=東京都新宿区

【ニューヨーク=平田雄介】米ユダヤ系団体の「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(SWC、本部=ロサンゼルス)は21日、ユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)を冗談のネタにした過去があるとして、東京五輪・パラリンピック組織委員会の開閉会式の制作・演出チームで「ショーディレクター」を務める小林賢太郎氏を非難する声明を発表した。

声明は、日本の一部報道に基づき、小林氏が1998年にナチスによるホロコーストを喜劇の脚本に取り込み、「ユダヤ人大量虐殺ごっこをやろう」と悪意のある冗談を言う役を自ら演じたとしている。障害者を不愉快な冗談のネタにしたとも指摘した。

SWCのエーブラハム・クーパー氏は「どれだけ創造性のある人物でも、ナチスによるジェノサイド(民族大量虐殺)の犠牲者をあざける権利はない」と主張した上で、「ナチスはガス室で障害を持つドイツ人を殺害した」と指摘。「この人物が東京五輪に関わることは(亡くなった)600万人のユダヤ人の記憶に対する侮辱」であり、パラリンピックを「冷酷にあざけることだ」と厳しく批判した。

SWCは国連との協議資格を持つ有力団体。情報提供を求め、ツイッターに声明のリンクを投稿した。

これに対し、国連の中満泉軍縮担当上級代表(事務次長)は「決して冗談のネタにしたり揶揄(やゆ)したりしてはいけない事が、世界にはいくつかある。ホロコーストもその一つ。歴史の過ちから学び私たちの世界を虐殺、差別、人権侵害から守るために大切なこと」と応答した。

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